園長インタビュー

【太郎さんのここが聞きたい!】VOL.101 「太郎のチームビルディング」

トップダウンが当たり前だった日本でも、組織の在り方の見直しが進んでいます。フリースクールを運営している太郎さんがどんな組織作りをしているのかお聞きしました。

 

山田「森の学び舎のスタッフの採用基準ってあるんですか?

太郎:ありません、僕は、スタッフになりたいという人を基本、全部受け入れます。 

組織作りに必要なのは多様性なのに、僕が選ぶと自分の好みの人しか雇えなくなるし(笑)

 

普通は意見が違うと面倒くさいって感じてしまうでしょ?

もちろん、ずっと好き勝手言われるのはこまるけど、僕にものを申すぐらいの人材に育ってもらいたいから、イエスマンばかり採用したら、駄目なんです。

そして、運営するときはティール組織をモデルにしています。

 

(ティール組織:2014年フレデリック・ラルー氏のベストセラー『Reinventing Organizations』の中で紹介。日本では2018年に出版、権力を集中させたリーダーは存在せず、全員がフラットな関係であり、「組織の社会的使命を果たすために自分ができること」を理解し、「自分自身の目標達成のための行動」が一致してメンバーは自主的に成長をしながら使命を果たす。)

会社から与える目標設定もないし、締め切りもない。組織が押しつける決定事項は何もないんです。

森みたいなんですよ。

 

山田「森?」

太郎:多様な生物が一緒に生活していて、寒くなってきたら、誰が何か言わなくても、全員が冬支度を始めるでしょ?

これが人間の縦割り組織だったら、

平社員が課長に冬が来ると報告し、

根拠をまとめてくれと突き返され、

まとめた書類を

課長が部長に提出したら、

もっと、わかりやすい資料をつくれと突き返され、

手直しした書類を

部長が取締役に持って行く頃には

春になっていましたという。

 

山田「冗談のような、よくある本当の話ですね。」

太郎:ティールでは、誰かがキャッチした情報をみんなで相談します。

いろんな意見があっていいんです。

対等に、迅速に、情況に対して、

どんな、小さな気付きでも

全員が同時に情報を共有していることが大事。

これが、受け入れられている感を作ります。

 

山田「こうやって帰属意識が生み出されるんですね。」

太郎:みんなが出来ることを持ち寄って業務が遂行され、誰もできないことを外注する。

そんなやり方です。

 

山田「持ち寄りのパーティーみたいですね。」

太郎:そうそう、だから、多様性が大事なんです。

いろんなメニューが揃うでしょ?いろんなスタッフがいて良いんです。

新人も、ベテランも。

 

山田「前回、お話しいただいた、人の顔色を伺う新人さんだって、本人はしんどいかもしれませんが、組織としては役に立っているということですね。」

太郎:もちろんです。それに、最初は誰でもあるし、成長するまで、どこの会社でもある程度は持ち出しが当たり前です。でも、人間は、どうしても合わない時もあります。

だから、森の学び舎では、お互いのためにお試し期間を設けています。

 

山田「インターン的な?」

太郎:そうです。でも、お試し期間の終了は自分で表明してもらうことになっています。

1ヶ月で終わる人もいれば、1年かかる人もいます。 

そうすると、合わない人はその段階でやめるし、採用のミスマッチは起きないんですよ。

 

山田「やれるって自分で思えたら社員になるってことですね?それだとモチベーションが自然と生まれそうですね。」

太郎:入ったら、いろんな人間がいるので、お互いを理解できるような「円座」という場や「コネクションプラクティス」という研修を用意してあります。

 

山田「お給料の査定はどうされているんですか?」

太郎:僕は査定をしません。全体の予算だけ渡して、みんなで意見調整して決めてもらっています。

そうすると、スタッフが主体的に運用できるでしょ? 

自分たちのお給料を上げたいときは、子供の募集を増やしたり、太郎を講演会に行かせようという発想が自分たちから出てきます。

 

山田「どうやって決めているんですか?多数決ではなさそうですね?」

 

太郎:前回と同じです。どう思っているのか?本心か?本当にそれでいいのか?どんな細かい事でも

隠してないか?当たり前だとおもっている、そのこだわりは何か?どうして、そうなるのか?

 

「お互いが対等にありたい」

「気を遣わずに触れ合え、意見が言える関係でいたい」から、

徹底的に、お互いの意見を理解するまで摺り合わせしています。

 

 

山田「こうやって、トップダウンにはない、自主性が育まれるのですね?では、太郎さんはどういう位置なのですか?」

 

太郎:僕は、一緒にもがいて成長もしていますし、森の手入れをするときのように、全体見る人でもあります。 

昨日と今日の違いを感じて、気になるところ、バランスの悪いところに手を入れていくかんじですね。

そもそも、この学び舎は僕がやりたいことで、夢で、ある意味、スタッフは僕のわがままを体現することに付き合ってくれると言ってくれているわけですから、感謝しかないし、採用の段階で選ぶなんてないんです。

 

山田「でも、太郎旅は面接して、お客様をお断りされるときもあるんですよね?」

 

太郎:そうなんです(笑)。あの旅は、まず、僕が楽しむのが前提でデザインしているので。

同じ価値観の人と一緒の方が僕が楽しいから・・・。せっかく、時間とお金をかけて、行動するのに、気が合わないとお客様だって、つらいですからね。

 

 

このブログシリーズは「さつきやま森のようちえん」の元保護者で、太郎旅の参加者でもあるライターの山田詩乃が、読者目線で太郎さんに今、聞きたい事をインタビューし、まとめたものです。

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