山田:「太郎さんにお聞きするのもなんですが、進学塾の選び方を聞きたいんです。」
太郎:マジに、僕にそれ聞きますか?(笑)
山田:「そうです。(笑)宿題どころか授業さえない、森の学び舎の園長の太郎さんだから、聞いてみたいんです。」
太郎:進学塾そのものが悪いとは思っていません。その子が、勉強が好きで、自分で希望して、選んで行くなら全くいいと思います。
問題は、親が、勝手に子供の将来を不安に思って、先回りして、塾へ誘導する場合です。
行きたいから行くのではなく、いかねばならない状態だと、子供が自分で決めてないので、のび悩みが出やすいです。
でも、そもそもですが、親はどうして、子供を塾にいれたいのでしょうか?
良い大学を卒業すると、選択肢が増えて、いい就職ができやすくなって、お金がたくさんもらえて、幸せになると思うからですよね。
塾って、とんでもなく高いのに、親が夕食の食材は節約しても、自分の時間を削ってでも、塾に投資するのはなぜか?それは、投資回収できる可能性を感じるからです。
でも、果たしてそうでしょうか?
もちろん、幸せの定義は人それぞれですが、僕の意見では
「自分が何をしている時が幸せか知っている人が幸せ」
だと思うんです。
親にレールをひかれて走らせられた人は、何が幸せかわからなくなることが多くないですか?
それでも、まだ、コロナ前だと、未来は今までの価値観の延長上にありましたから、
未来に向けて投資するというのはなりたちましたが、
今や、一ヶ月先もどうなるか世界中の誰もわからない。
それで、先のために今やりたいこと、好きなことを犠牲に、やりたくない勉強するなんて、おかしいと思いませんか?
さらにコロナがなくても、そんじょそこらの大学生より、賢いAIが登場しているので、企業としても
計算の正確さや記憶とかは人に求めなくてもよくなってきました。
それよりも、AIをつかいこなす人材が必要なのです。
そういう人材を育てる塾ならまだ、いいかもしれません。
山田:「それって森の学び舎なんでしょ?(笑)・・でも、もう定員はいっぱいだし」(4月からの新入園は2月20日現在4名の空きがあります)
太郎:そうですね。(笑) でも、だいたい、本気で勉強したいだけだったら、今の時代、塾行かなくても、本やネットに情報はあふれています。
YouTubeを見てはいけないもののように言う親がいますが、インターネットの普及のおかげで、
世界の情報格差が是正されたんです。
新聞、TV、ラジオしか情報がなかった時代、日本を例にとっても、都会と地方では、チャンネル数も全然違いますし、本屋でしか良質な情報に触れられませんでした。
以前は学びたければ、良い塾や良い学校にいかないとよい情報に触れられなかったんです。でも、今は違いますし、どんどん、その傾向はすすむでしょう。
山田:「つまり・・・・。よい教育って、良質な情報で、それは、特定の大学に行かなければ手にいれられなかったから価値があったってこと・・・。でも、今は、ネットで学びたければ、安価で学べるようになっていると?もしかしたら、大学の存在意義があやうくなっていくかもしれませんね。」
太郎:でもね、理屈はそうでも、割り切れないのもわかるんです。
「うちの子は、ほっといたら、いつまでも変なYouTubeみてしまう。」
「別に東大、京大とまでは思わなくても、落ちこぼれないために」
「なんだかんだ言っても、まだまだ、学歴社会」
と思われるご父兄もいらっしゃるでしょう。
でも、100%子供を信頼していたらこんな不安はわいてくるでしょうか?
学び舎の中学部の子のおかあさんが言ってたのですが、
小学校3,4年生のときは
「まだ信頼はできないけど、我が子を尊敬できる。」
と感じ、小学5,6年生のときは
「彼の生きる力を信じられる」
ようになったんだそうです。
すごいですよね。
普通は無理です。
山田:「素敵だと思います。」
太郎:「子供時代に勉強しておいた方がいい」
というのは親のエゴだし、成績の上下に一喜一憂してのたうちまわっているのも実は親です。子供は最初、実はそこまで気にしてなくないですか?親が大騒ぎするから、子供もだんだん気にするようになるんです。
山田:「耳が痛いです。100%は無理ですが、子供を信用しようと心がけてみます。
ですが、いろんな教育方法があって、どれが正しいって実はないですよね。
オルタナティブもあれば、
以前、太郎さんが言ってたこととは反対で、
先回りして、環境つくって、子供を誘導してうまく選択させることこそ大事という人もいますし。
必勝はちまきまいてモーレツな指導の進学塾もあるし、
ゆるゆるな塾もある。個別指導や集団塾、全部一長一短あります。
厳しい塾だからといって、子供が全員、死んだ魚の目みたいになるわけでもないし、
むしろ自信をつけたり、もちろん、賢くなったり、
親にひかれたレールを走っても、何が幸せかわかる人もいます。
どれも、ある意味、間違いではない気がするんです。人次第、状況次第。
でも、そう思うと、どの道を選んだらいいか、余計わからなかくなるんです。」
太郎:それはそうなんです。見方を変えれば、全部正しい。じゃあ、何を基準に選択したらいいか?ってことですよね。
それは、「気持ち」です。
家族みんなの「気持ち」です。
必ずしも、子供の気持ちを優先しなければならないわけではない。
おかあさんが、送り迎えしんどくて、お弁当つくるのが大変だったら、無理してまで
頑張らなくていいんです。
要は、みんなの意見が重なるところ、落とし所を探っていくんです。
山田:「あ、森の学び舎の子が、意見が分かれたときにやる方法ですね!」
太郎:そうです!気持ちをベースに考えたら、みんなが幸せになる道がかならず見えてくるんです。
ということで我が家でも家族会議してみました。
子供の気持ちは、親にかまってほしい。
お友達と仲良くしたい、遊びたい、交流したいが一番。
だけど勉強がわからなくなってしまうのは嫌。
TVやYouTubeみたいに楽しい授業なら受けたい。
宿題が多いのは嫌。
お習いごとは続けたい。
私は、子供が子供時代を生き生きと輝く環境を整えてあげたい。
でも、仕事の責務を果たしたい。
プライベートや友人との時間も大切にしたい。
主人は家族を守るために仕事をちゃんとしたい。
本を読んだり一人の時間を大切にしたい。
でも宿題やテスト勉強で娘に関わる時間を持ちたい・・・・。
これらの希望が重なるところって、一見なさそうですよね。ところが、あったんです・・・。
何が正解かで考えてたときは全然、どうしたらいいかわからなかったのに、
気持ちベースで考えたら、あっという間に答えが出ました。
それぞれ、自分の価値観の枠をシフトする必要はありましたが、
気持ちを大切にしたら、面白いアイデアが創造できました。
すごい、太郎さん!!!
このブログシリーズは「さつきやま森のようちえん」の元保護者で、太郎旅の参加者でもあるライターの山田詩乃が、読者目線で、太郎さんに今、聞きたい事をインタビューし、まとめたものです。
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