いよいよ、4月より中高部がスタートしました。中高部は、自然の中で自由に遊ぶ小学部とちがって、いろんな意味で社会に出る準備がはじまります。プロジェクトを立ち上げ、来年には会社をつくる彼ら。
そのために、一体何から始めるのかお聞きしました。
山田「中高部で一番、最初にすることはなんですか?」
太郎:まずは「ルールづくり」を学びます。
会社を設立するときも、最初に定款をつくるんですが、これは
「私の会社はこういう仕事をします。」
という自分達が決めるルールです。
だから、まず「ルールの決め方」というものについて説明しました。
山田「といいますと?」
太郎:「ルール」には大きくわけて、
- できないことを決める
- できることを決める
という2つの種類があります。
憲法だったら、政教分離、国民主権、表現の自由、etc
国民側はできることを書いてある。
でも、国からみるとできないことが書いてある。
禁止のルールは過去を背負っていて、不審から生まれ、
できることを決めるルールは未来をつくっていくし、信頼から生まれています。
「君たちが活動する上で、どちらをベースにルールづくりをしてもいいよ。」
と言いました。
山田「例えば、どんなルールですか?」
太郎:時間の使い方とか、お金の使い方とか、パソコンや携帯の使用はどうするかとか・・・。
学び舎の教育方針の範疇で、親が承認したらいい。
それで、僕の会社のケースを話したんです。
普通だったら、僕がどんな仕事をするか書く欄は
ツアーガイド、教育、そして、一般的には
「その他上記に付随するすべての業務」
と書くのが普通なんです。
でも、僕は税理士さんとも相談して、
未来を予想したとき、その枠におさまりきらない可能性が高くて、
会社の定款には
「その他、すべての適法の業務」
と書きました。
山田「つまり、それは、法律内ならなんでもやるってことですね?」
太郎:そうです。
だから、
「僕が君たちだったら、なんでもやらせてくれるルールを作る」
と伝えました。
そうやって、どちらのルールでつくりたいか問いかけたんです。
山田「この感じだったら、みんな、なんでもやらせてもらえるルールってことになるのではないですか?」
太郎:ところが、そうは簡単にいかないんですよ。
親に許可をもらって答えを持ってきた子は一人だけでした。
その子の答えは
「法律をやぶらない」
ただ、それだけのルール。つまり、その子はこれから、なんでも出来るんです。
でも、他の子は、
「俺、絶対無理や」
と頭を抱えている子もいるんです。
山田「どうして、ですか?森の学び舎に入れる親だったら、みんな許可するんじゃ?」
太郎:小学部では、一応、携帯やゲーム機、お菓子の持ち込みはNGだったんです。それが制限なく、携帯電話やゲーム機、お菓子を渡したらどんなことになるか・・・。
普通の親なら簡単には承服しません。そして、今回驚きだったのは、子供も、それをわかっているんです。
自分が親に信用を得るだけの自分ではないって。
いままで、親との信頼をどれくらい貯めてきたかが試されているんです。
山田「どうして、それが必要なのですか?」
太郎:ビジネスで一番大事なのは信頼だからです。
いままで、どれくらいの信頼を勝ち得てきたかが、この個人個人のルール決めに現われるんです。
彼らは今、信頼をどうつくるのか、必死に直面しているでしょう。
自由に人間が生きるためには信頼関係がいるということを学んでいるんです
目下のところ彼らにとって一番の障壁が親。
駄目なところ全部見られている。
親は子供を守りたいから簡単には許可できません。
山田「大人でも親兄弟が一番信頼してもらうの難しいですよね。」
太郎:本当にそうです。だから、そこの信頼を勝ち取れれば、他の人の信頼は楽勝で勝ち取れるようになるんです。これをやってのけたら、世の中で生きていけます。
山田「反抗期なのに難しくないですか?」
太郎:親とか学校がルールで縛らないなら反抗期は起きないって思います。
親の信頼を得て、法律さえ守れば、なにやってもいいなら反抗期にならないんじゃないかな。
とはいえ、先ほどから話しているように、親の信頼を勝ち取るのは難しいのは事実です。
ですが、
「出来ている仲間がいるから、自分も頑張ってみよう。」
となると僕は思うんです。
彼らは、自分が信頼のある行動をしているか顧みて、
自分で自分を律することができるようになるんじゃないかと予想しています。
模索する中で、他人を信頼してもらえる力がつくかなと思っています。
そうすると、内側からあふれ出てくる、本当の意味での紳士淑女になると思いませんか?
連休明けに結果が出る。(インタビューは5月5日)学校のテストより厳しいと思いますよ。
そう簡単に、出来ない子もいるかもしれません。
そんなときは、ほったらかしにせず、親に信頼を得ていく方法をトピック的には話していこうと思っています。
子供は、うちの親はウンって言わないって分かっている。
原因が自分のせいなのもわかっている。
次、どうしてくるのかが楽しみです。
そうして、自由を勝ち得たあかつきに、来年、親からの信頼を得る方法を語り継いでいったりしてね・・・。
このブログシリーズは「さつきやま森のようちえん」の元保護者で、太郎旅の参加者でもあるライターの山田詩乃が、読者目線で太郎さんに今、聞きたい事をインタビューし、まとめたものです。
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