園長インタビュー

【太郎さんのここが聞きたい!】VOL.97 「何かが終わり、何かが始まる過渡期」

森の学び舎のスタッフがしっかり任せるようになり、子供たちが巣立とうとしているときに、太郎さんに異変がおきています。今回は、学び舎の現状から話が始まりました。

 

太郎:高等部の話がすすむにあたって、

「高校生が喧嘩したら体力があってけんかが止められない。」

不安に感じるスタッフがいました。

 

でも、ある別のスタッフが言ったんです。

「私たちは一人の人間として子供をみていて、

安心安全な場所を用意し、

コミュニケーションをとって、

信頼を築いてきた。新しい子がきても、同じ。

大きな問題は起きない。

これからも子供を信じていくし、信じて欲しい。」

 

素晴らしいなと思いました。もう任せられるなって。

 

山田「本当ですね。実際、一人の人間としてというのは、具体的にどんな関わりだったのですか?」

太郎:気になることがあればスタッフ側に聞く準備があって、子供には心置きなく話してもらうし。

お互い弱みをみせてもいいし、

起きていることは、表面的ではなく、本当はどういうことかも気付いてもらえる。

 

不安や不満を

「そうだったんだ」

とただ、受け取ってもらえる安心感があるから、

思う存分、お互い話が出来る。

 

普通は否定的な話って隠すでしょ。

でも、ここでは、そんな自分を明らかにしても嫌いにならないよという、

安心感があって、それが大事なんです。

 

だからね、子供たちは幸せそうですよ。

 

ただ、こうやって育てられた子供は

いろんな疑問を素直に大人にぶつけてきます。

 

「あなたたちは、幸せになる力を持っている?心に沿って生きている?」

と。

 

 

するとスタッフと保護者が大変。

自分たちが生きてきた価値観をくずされ、

いままでのネガティブな固定概念に縛られてしまう自分を

まざまざと見せつけられるので、毎回、あたふたしてしまいます。

 

 

子供たちはやりたいことを我慢しません。

わがままでもなく、ちゃんと、自分にも相手にも確認しながら、やりたいことを伝えてきます。

そして、うまくいかないときはみんなで一緒に考える。

 

といっても、普通の子供と同じで悩んだりするんですけどね。

例えば、進路とか。

進路と言えば実は今年度はたくさん6年生を送りだします。

来年にむけて、みんな、もう、引き継ぎをはじめている。

 

木工の時のテーブルの出し方。

ハロウィンで大学、商店街を回るやり方。

おのおの続けて欲しいことを下の学年につたえています。

 

ここで育った子には公立中学は窮屈かもしれないけど、

それさえも、きっとどう楽しんでいくか考えたりできるようになったとおもっています。

 

嫌になったって、ここには仲間もいるし、仲間にいつでも戻れるし。

 

山田「中学校にあがる子供たちは、既に、どんなところでも幸せに暮らしていけるようになったんですね。」

太郎:それで、学び舎のスタッフが成長して、

子供が巣立つ準備が始まって、

国連教育デーで基調講演も頼まれ、

学び舎の話を聞いてくれる人がたくさんいて嬉しく思っていたのに、

 

僕が事務処理でミスを連発するようになったんです。

いままで、人の二倍出来ていたのに。

 

同タイミングで山のガイドをやめようと決めました。

僕自身が山で人の安全を守れないと感じたんです。

人を背負えなければガイドは出来ないと師匠からいわれていたし、

スキルは上がっているけど体力はもう駄目ですね。

 

「山は自分が楽しむものにしよう。」

と引退を決めましたらね、

 

だから、きっと、自分にスペースが出来たんですね。

現在(12月9日現在)、調子狂っています。過渡期ですかね。

学び舎、エコツアーときて、次は何をしたいのか、今は分かりません。

 

仕事ではないのかもしれない。

きっと生活に近い何か・・・

森の整備とかテントで週2,3日暮らすとか。

 

 

自分としては、今、見えない時期です。

 子供たちが自分の気持ちを素直に出せる場を学び舎でつくったように

リアルで一般の方にもそういう場をつくろうかなとかも思っています。

 

「太郎の森」を作って、

薪ストーブテント入ったり、昼間からお酒のんだりとかもいいな。

時間が出来る分、新たな挑戦づくりが、じわあと始まる気がする。 

次の10年何をして過ごしてみたいのか?

 混乱しながらも、ぼんやりと考えています。

 

ガイドも、学び舎もそうだったし、必死に考えなくてもまた、流れが飛び込んでくるかも知れませんね。

条件は前よりずっといい。空飛ぶ園長ブランドがあるし、仲間やスタッフがいるし。

 

凄いことすると、疲れちゃうんで、自分らしくいられる何かやりたいですね。

 

 

混乱さえも楽しめる太郎さん。私からも、話を聞いて、ふと浮かんだことを提案してみました。さあ、どうなっていくんでしょ。きっと、太郎さんならなんとかなりますね。

 

 

このブログシリーズは「さつきやま森のようちえん」の元保護者で、太郎旅の参加者でもあるライターの山田詩乃が、読者目線で、太郎さんに今、聞きたい事をインタビューし、まとめたものです。

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