園長インタビュー

【太郎さんのここが聞きたい!】 VOL.56 空を飛べなくなった園長の巣ごもり術

 

この取材はまさに緊急事態宣言が出される寸前の4月5日に取材しました。各国がロックダウンを行い、日本も緊急事態宣言で、海外渡航もできなくなり、空飛ぶ園長はどう過ごしているか聞いてみました。

 

太郎:僕は山登りをする人間ですが、登山家はある意味臆病なんです。危険から逃げる危機管理能力が求められるからです。

 今回の件は、食料確保に重きを置いています。と言っても、普通の人のように、カップラーメンを買い込むとかではありません。お米は森の学び舎で田植えや稲刈りしているたんぼで収穫したお米300kがあるし、手作りした味噌、醤油は売るほどあるし、塩はふだんから常備していますから、今回準備したのは野菜です。

 今出ている野菜を天日干しして保存食に変えました。おすすめは新生姜、5mm角にきって、40分蒸して、1週間干すんです。これ、風邪の時は、味噌汁にいれたり、お茶にいれたりしてもいいし。

 あと、プランターで大根や大葉、トマト、ナス、キュウリとかぼちゃなど夏野菜を栽培始めています。僕が実践しているのは永田農法と言って、わざと砂とか痩せた土地で栽培するスパルタ農法で、一週間に一回、液体化学肥料を水に混ぜてやるだけの農法です。栄養枯渇するから、頑張って根を生やすし、野菜本来の旨味が凝縮します。

 あと、急に食べ物がなくなった時を想定して、普段から、食べられるものの範囲を広げるのも大事です。

 たとえば、柿の葉。

 レモンよりもビタミンCが10倍もあるんです。この柿の葉の新芽の天ぷら美味しいですよ。

お茶としても楽しめます。この場合は、蒸して、干すと甘みがあるお茶に。そこから鋳ると香ばしくなります。

あと、山菜も美味しいですよね。よもぎを天ぷらにしたり、草団子にしたり。

こんな風に、僕や、山のモノや畑のモノを集めるのが得意なんですが、もし、魚が食べたいなって思ったときは、

 魚釣りが趣味な友達にお願いして、彼がつくっている、魚の一夜干しを野菜と交換してもらうとかしようと思っています。

 

「まさに、物々交換ですね。」

太郎:本来は、それでいいと思うんで。お金は便利なのでなくならないとは思いますが、自分の得意なことで得たもの同士を交換するのは経済の基本ではないかと思います。

 

「太郎さんが山の知識をつけたのはいつなのですか?」

上高地の管理人だった時ですね。暇がいっぱいあったんです。その時に沢山、興味のある本も読んだし、自然の知恵を学びました。

 得意なものを身につけるときって、やらなければならない事がないのは大事ですね。

 不便なのも大事、いろいろ工夫が生まれます。

 

「いつも人生を楽しんでいる太郎さんが大好きな旅に行けない状況ですが、それはどうですか?」

 太郎:僕は自然が好きなんです。大自然も好きだけど、小さな自然も好き。旅ができなくても、ベランダのプランターで大根が芽を出すのを見るだけで充分嬉しいんです。

 日本の田舎にわざわざいかなくてもいい。都会の片隅の歩道脇のコケでも楽しいんです。

 僕の知人にダニの研究をしている人がいて、歩道橋のコケについて教えてもらったことがあるんですが、あそこで生態系循環が起きているんですよ。ダニとか、いろんな微生物がいて循環する。

 本気の自然オタクは大自然いかなくても、歩道の脇で、上高地と同じことがおきていることにワクワクします。

 極端な話、自然はマクロもミクロでも同じなのです。

 無人島に自然好きの仲間と3泊4日でキャンプしたことがあるんですが、みんなが島を探検にいってるとき、僕は直径50m以上動けませんでした。発見がありすぎて、先に進めないんです。

 自然は動くスピードを落とす方が、見えるものがたくさんあるんです。

 自然から学ぶことはいっぱいありますよ。

 たとえば、自然を観察すると美しい形をしたものは丈夫です。だから、僕は何か道具をつくる時も美しくつくることを意識しますしね。

 とりあえず、状況が変わるまで、こんな感じでしょうが、いかなくてはならない、会社や学校がない状態というのはある意味、社会全体でも、ものすごい才能が開くタイミングではないかと僕は思っています。

 もちろん、僕は旅に行けるようになれば、動けるうちはいきますよ。でも、今回のようなことがまた起きても、いつか年をとって、どこにも行けなくても、僕は与えられた環境で、自然を楽しむ暮らしをしているでしょうね。

 

このブログシリーズは「さつきやま森のようちえん」の元保護者で、太郎旅の参加者でもあるライターの山田詩乃が、読者目線で、太郎さんに今、聞きたい事をインタビューし、まとめたものです。

 

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