太郎さんは、今年、ある森のようちえんに小学部ができるので
10月くらいまで、月1,2回太郎さんやスタッフが行って、運営面をサポートするのだそうですが、
それにあたって、一番大事なことを教えてくれました。
太郎: 小学部の運営で一番大切な事は、
スタッフと親に起こりうるゆさぶりやプレッシャーへのサポートです。
といっても、経験談と現場の話を聞くことしかできないんですが・・・。
山田:どんなプレッシャーが起こりうるんですか?
太郎:まず、親ですが、両親共に小学生の我が子を
フリースクールに入れることが賛成ならいいんですが、違った場合、大変です。
仮にそこがクリアーしていても、それぞれのおじいちゃん、おばあちゃん、更に親戚から揺さぶられます。
「子供を学校にいかせなくて大丈夫なの?勉強させなくて大丈夫?」
の矢面にたたなくてはなりません。子供を信じ続けなければなりません。
自分達が成長してきた過程とは違うから誰もが不安になるんです。
ほおっておいて、計算に興味をもつのか。漢字かけるようになるのか?
森のようちえんを通わせるのでも、
「そんなところにかよってて、学校いったらちゃんと座れるのか。」
と心配されますが、その比ではありません。
うちの学び舎はすでに中学生の子がいるけど、イメージできる存在がなく小学部、新しく始めるのは大変だと思います。
山田:たしかに・・・
太郎:次にスタッフですが、別の意味で子供達から揺さぶられます。
僕はスタッフに何度も言うんです。
「ここは、お金をもらって、子供に成長させてもらう場だよ。」
「僕が、旅で一番楽しんでいるように、スタッフが一番楽しんでいい。」
って。
でも、みんな、大人だから、スタッフだから、お金もらっているから
子供に何かしてあげなければならない、導かなければならないって思うんです。
で、良かれと思って介入すると
「大人ぶって、大人の意見を押し付けるのかよ。」
といって別のスタッフのもとに行かれる。
本人は
「働いているんだから、お金もらっているんだから、できることをしないと。」
と思って、がんばればがんばるほど、子供達がはなれていくので
今度は、こどものいうことを何でも聞き始める。
かたっぱしから願いをかなえようとする。
すると、こどもからすると、言った瞬間かなうことなんて面白くないから、
切磋琢磨しないとあそびとして深みがないから、面倒くさいことだけ押し付けてきたり、退屈の一時しのぎで大人をつかい、
足腰が痛くても
「馬になれ!」
とか言われて軽んじられる。
自分はこんなにもがんばっているのに、うまくいかない。
でも、ガチンコでいいたいことを言って、こどもとぶつかっいてるスタッフの方が人気があって、キラキラしてみえる。
でも自分はそうはできない。こどもであっても
「ぶつかるのは怖い。いやって言えない。」
我慢して、平和を勝ち取ってきたから。
ようちえん児はまだいいんです。可愛いから。
でも小学部になると、固定概念をがんがん揺さぶられて、しがみつけば、しがみつくほど、一緒にいても辛くなるだけなんです。
今までの教育うけてきた大人ならみんな体験します。
子供と近い感性をもっていても、2,3ヶ月、そうでないなら2,3年たってもまだって場合も。
短気な人はぬけるの早いです。
我慢強い人ほど時間がかかります。
「私はここにふさわしくない。ここの子供の成長を阻害してしまう。」
と。
山田:どうすればいいんですか?太郎さんは、ちゃんと、スタッフ自身が楽しんだらいいって
伝えているんですよね?
太郎:それは、もう、何回も伝えています。
「ここは、子供に成長させてもらう場。」
「様々な個性を持った大人がいることがわかればいい。」
「大人と子供が一緒に時間と場所を共有すればいい。」
「仕事している大人が一番、楽しんで、一番成長する。その姿を見せてほしい」
と。でも、わかっててもできない。
本人が手放すしかないんです。
これまた、まわりも、成長をうながさずに待つしかありません。
でも、あるとき、スコーンとぬけて、いいたいことが言えるようになります。
すると楽になってくる。
山田:そうなると、何が違ってくるんですか?
太郎:まず、スタッフもいやなことはいやって言える。
そして、押し付けない。思惑をもって話さなくなります。
選択肢を示すけど選択は100%子供に渡すようになります。
「選択肢はAとBがあるけど、どうする?」
ってシンプルに
勉強させようとか思惑をもつと
「AもあるけどBの方がいいよ。」
あたかも、Bが正解的な言い方をするんです。
学び舎の子供は、アドバイスしたり、あたかも選択肢があるようにみせかけて、おしつけてくる大人に敏感で近づきません。
「こうやった方が効率的」という経験則は新しい時代に生きる子供にはもう古いし、決められたようにおもってしまう。
答えがほしんじゃなくて、相談に行ったときに、聞いてほしいだけなんです。
思考がクリアになればいい。それをサポートできるようになります。
この、インタビューみたいに。
山田:というと・・・。
太郎:大人が与え、提供しようとするのは失敗させたくないから、でも、一緒に成長するって思えば、子供の話をきいて、アイデアや発想を楽しみ、自分も成長できるんです。
山田:確かに、私、お仕事だけど、太郎さんから話聞いて、そのアイデアや発想を楽しんで
学ばせてもらっています!!!!何か、与えようとかしていませんね。(文字にはまとめているけど)
太郎:それがいいんですよ。だから、他の森のようちえんも、そんなかんじでサポートしていくつもりなんです。
これは、奈良でも太郎さんがだれより学び、楽しむんだろうな・・・・。
このブログシリーズは「さつきやま森のようちえん」の元保護者で、太郎旅の参加者でもあるライターの山田詩乃が、読者目線で、太郎さんに今、聞きたい事をインタビューし、まとめたものです。
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