園長インタビュー

【太郎さんのここが聞きたい!】 VOL.74 「お金をもらいながら、子供と一緒に成長するスタッフ」

太郎さんは、今年、ある森のようちえんに小学部ができるので

10月くらいまで、月1,2回太郎さんやスタッフが行って、運営面をサポートするのだそうですが、

それにあたって、一番大事なことを教えてくれました。

 

太郎: 小学部の運営で一番大切な事は、

スタッフと親に起こりうるゆさぶりやプレッシャーへのサポートです。

といっても、経験談と現場の話を聞くことしかできないんですが・・・。

 

山田:どんなプレッシャーが起こりうるんですか?

 

太郎:まず、親ですが、両親共に小学生の我が子を

フリースクールに入れることが賛成ならいいんですが、違った場合、大変です。

仮にそこがクリアーしていても、それぞれのおじいちゃん、おばあちゃん、更に親戚から揺さぶられます。

「子供を学校にいかせなくて大丈夫なの?勉強させなくて大丈夫?」

の矢面にたたなくてはなりません。子供を信じ続けなければなりません。

自分達が成長してきた過程とは違うから誰もが不安になるんです。

ほおっておいて、計算に興味をもつのか。漢字かけるようになるのか?

森のようちえんを通わせるのでも、

「そんなところにかよってて、学校いったらちゃんと座れるのか。」

と心配されますが、その比ではありません。

 

うちの学び舎はすでに中学生の子がいるけど、イメージできる存在がなく小学部、新しく始めるのは大変だと思います。

 

山田:たしかに・・・

 

太郎:次にスタッフですが、別の意味で子供達から揺さぶられます。

 

僕はスタッフに何度も言うんです。

「ここは、お金をもらって、子供に成長させてもらう場だよ。」

「僕が、旅で一番楽しんでいるように、スタッフが一番楽しんでいい。」

って。

 

でも、みんな、大人だから、スタッフだから、お金もらっているから

子供に何かしてあげなければならない、導かなければならないって思うんです。

で、良かれと思って介入すると

「大人ぶって、大人の意見を押し付けるのかよ。」

といって別のスタッフのもとに行かれる。

 

本人は

「働いているんだから、お金もらっているんだから、できることをしないと。」

と思って、がんばればがんばるほど、子供達がはなれていくので

今度は、こどものいうことを何でも聞き始める。

かたっぱしから願いをかなえようとする。

すると、こどもからすると、言った瞬間かなうことなんて面白くないから、

切磋琢磨しないとあそびとして深みがないから、面倒くさいことだけ押し付けてきたり、退屈の一時しのぎで大人をつかい、

足腰が痛くても

「馬になれ!」

とか言われて軽んじられる。

 

自分はこんなにもがんばっているのに、うまくいかない。

でも、ガチンコでいいたいことを言って、こどもとぶつかっいてるスタッフの方が人気があって、キラキラしてみえる。

でも自分はそうはできない。こどもであっても

「ぶつかるのは怖い。いやって言えない。」

我慢して、平和を勝ち取ってきたから。

 

 

ようちえん児はまだいいんです。可愛いから。

 

でも小学部になると、固定概念をがんがん揺さぶられて、しがみつけば、しがみつくほど、一緒にいても辛くなるだけなんです。

 

今までの教育うけてきた大人ならみんな体験します。

 

子供と近い感性をもっていても、2,3ヶ月、そうでないなら2,3年たってもまだって場合も。

 

短気な人はぬけるの早いです。

我慢強い人ほど時間がかかります。

 

「私はここにふさわしくない。ここの子供の成長を阻害してしまう。」

と。

 

山田:どうすればいいんですか?太郎さんは、ちゃんと、スタッフ自身が楽しんだらいいって

伝えているんですよね?

 

太郎:それは、もう、何回も伝えています。

「ここは、子供に成長させてもらう場。」

「様々な個性を持った大人がいることがわかればいい。」

「大人と子供が一緒に時間と場所を共有すればいい。」

「仕事している大人が一番、楽しんで、一番成長する。その姿を見せてほしい」

と。でも、わかっててもできない。

本人が手放すしかないんです。

これまた、まわりも、成長をうながさずに待つしかありません。

 

でも、あるとき、スコーンとぬけて、いいたいことが言えるようになります。

すると楽になってくる。

 

山田:そうなると、何が違ってくるんですか?

 

太郎:まず、スタッフもいやなことはいやって言える。

そして、押し付けない。思惑をもって話さなくなります。

 

選択肢を示すけど選択は100%子供に渡すようになります。

「選択肢はAとBがあるけど、どうする?」

ってシンプルに

 

勉強させようとか思惑をもつと

「AもあるけどBの方がいいよ。」

あたかも、Bが正解的な言い方をするんです。

 

学び舎の子供は、アドバイスしたり、あたかも選択肢があるようにみせかけて、おしつけてくる大人に敏感で近づきません。

 

「こうやった方が効率的」という経験則は新しい時代に生きる子供にはもう古いし、決められたようにおもってしまう。

 

答えがほしんじゃなくて、相談に行ったときに、聞いてほしいだけなんです。

 

思考がクリアになればいい。それをサポートできるようになります。

この、インタビューみたいに。

 

山田:というと・・・。

 

太郎:大人が与え、提供しようとするのは失敗させたくないから、でも、一緒に成長するって思えば、子供の話をきいて、アイデアや発想を楽しみ、自分も成長できるんです。

 

山田:確かに、私、お仕事だけど、太郎さんから話聞いて、そのアイデアや発想を楽しんで

学ばせてもらっています!!!!何か、与えようとかしていませんね。(文字にはまとめているけど)

 

太郎:それがいいんですよ。だから、他の森のようちえんも、そんなかんじでサポートしていくつもりなんです。

 

これは、奈良でも太郎さんがだれより学び、楽しむんだろうな・・・・。

 

このブログシリーズは「さつきやま森のようちえん」の元保護者で、太郎旅の参加者でもあるライターの山田詩乃が、読者目線で、太郎さんに今、聞きたい事をインタビューし、まとめたものです。

 

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