園長インタビュー

【太郎さんのここが聞きたい!】 VOL.35.『不登校』

いま、なにかと話題の『不登校』ですが、今までとは、違った意味で注目を集めています。いったい、何がおきているのでしょう?大人はどうすればいいのでしょう?オルタナティブスクールの園長である太郎さんの視点からお話をお伺いしました。

太郎:そもそも『不登校』とか『ひきこもり』とかひとくくりにして考えては駄目ですね。いろんなパターンがあるんです。いじめとか、深刻な理由で『不登校』になることもあるし、したいことをしたいための、能動的、積極的『不登校』もあるんです。今、話題になっているのはこちらですよね。

『不登校』という名前が否定形でよくないのかも、『自由登校』ならしっくりくるかな。

個人個人の事情があるので特定の方のお話をする気はないのですが、実際、一人の子供だけでなく、あちらこちらで同じような子供がでてきているんです。それを、経営者の目線で、何がおきているのか解説し、大人はどうしたらいいのかのヒントになる話を出来ると思います。

大きなポイントは3つです。
・IT革命で与えられた豊かさとチャンス
・太郎の経営哲学の原風景:好きなことをやり続ける価値と責任
・加速する時代背景格差の認識

「不登校がテーマの話なのに、経営者としての切り口でというのが面白いですね。」

太郎:森の学び舎になげかけられる「勉強を教わらないで好きな事だけやる学校に行っていると、どんな未来が待っているのか?」という質問に答えることと、今回のことは同じですからね。(笑)

なんの勝算もなくやっているわけではないのです。

好きなことをして食べていける、ご機嫌に暮らしている背中を子供達にみせるのが僕の役目だと思っていますが、それは、僕だからできるわけではなくて、誰もが出来るような時代がきているんですよ。まず、今、どんな時代かお話しします。

 

【IT革命で与えられた豊かさとチャンス】
お金持ちになることが幸せかどうかは後にして、実はもう、現代人は、みんな物理的にお金持ちです。

それは、何回もあった産業革命、技術革命のおかげです。

昔、アイスクリームは王様しか食べられなかった。そして、誰もが新幹線や飛行機で移動するなど明治時代には夢にもおもわなかったでしょう。それが、出来てあたりまえになったのが昭和の時代。

平成は、IT革命が起きました。インターネットとスマホ、それに伴うSNSの普及。

昭和の時代、海外と仕事をしようとすると、経費も時間もかかりましたが、今やただで、TV電話ができ、仕事の書類をあっという間に送ることができるようになりました。

額が大きいのは、広告です。Instagram、ユーチューブ、Twitter、ネットを使えば、自分のやりたいことを世界中に発信できます。それは、巨額を投じて広告を出していた大企業と個人が肩を並べられるようになったということです。

私たちは、特にこの10年ほどで、とんでもない額のお金を手にしたのと同じなんです。でも、

お金も、釘も、スマホも道具です。

極端な言い方をすれば使わない人にとってはお金でさえ場所をとるゴミになってしまいます。

でも、使える人が使えば、新しいものが生み出され、豊さが増えていく。

スマホ一つでも面白い発信をすれば、個人でも注目され、応援され、お金を稼ぐこともできるのは周知のとおりです。

「令和はそこにAIがはいってくるのですね。でも、その面白い発信っていうのが難しいですよね。稼ぐぐらいとなるとさらに」

 

【太郎の経営哲学の原風景:好きなことをやり続ける価値と責任】
面白い発信につながっていくキーワードは好きな事です。

これは、僕の経営哲学の原風景なのですが、

上高地にいた25歳の頃、早稲田大卒の大企業の部長さんから
「太郎君、好きな事があるなら続けなさい。40歳になったら食べられるようになる。」
と言われました。

その方は渓流釣りが好きで学生時代、5人の仲間と山小屋を自分たちでつくって、寝泊まりしながら楽しい日々をすごされたそうなのですが、就職をきっかけに1ヵ月に一度が、3ヵ月に一度、半年に一度となりました。

でも、その中で一人だけが就職せずに、その山小屋に住み、釣り三昧をし、お金がなくなれば、里におりて住み込みの仕事をして、お米と塩とみそを買い、また、山小屋にもどる生活をしていたそうです。

でも、40歳になったとき、その釣り人さんは、大企業の部長さんの10倍稼ぐようになっていたんです。

釣り業界では、名が知られた先生となり、釣り竿のメーカと提携したり、本やDVDが売れたり、TVで若い女性タレントと海釣りをするまでになったとか。

この話は僕の心に響き、素直に実行して、実際、40歳で好きなことで食べられるようになりました。
10歳の子供の頃から自然にかかわることが好きでしたから、40歳まで続けたら、30年のベテランです。そりゃ、専門知識もたまりますし、それを教えてほしいといわれるようになったのです

好きなことをしている人は、魅力的で応援したくなりますし、人が集まるから、仕事が成り立ちやすくもなります。

先に話したように、特に今は、ネットの時代ですから、僕の時代より時間をかけずに食べられるようになると思います。でも、ここで一つ気を付けなければならないのは、お金を稼ぐのが目的にならずに、好きなことを続けることです。

お金を稼ぐことが目的になると、プレッシャーや面白いことを発信せねばならないになって、自分が面白くなくなるからです。

ミュージシャンに例えると分かりやすいですね。好きで音楽をはじめたのに、売れたとたん、次も売れようと大衆に媚びてしまって、続かなくなる。売れようが売れまいが、自分の好きなことを貫いていれば、一定のファンというものはつくし、そもそもお金はどうでもいい。やりたいことをやれば続くのです。

好きなことというのは、誰にほめられなくても、お金をもらわなくても、いや、お金を払ってでも自分がしたくて、したくて、しょうがないことです。それが出来れば幸せというもの。

お金と幸せはイコールではありません。同じように学力と幸せもイコールではありません。でもみんな、イコールだと思っています。

そして、お金や学力のために、大切な「すきなことをする。」という幸せを手放してしまうことだってある。それは、本末転倒ではないでしょうか?

「勉強を教わらないで好きな事だけやる学校に行っていると、どんな未来が待っているのか?」
という質問に僕はこう答えます。
「好きなことをやり続けなさい。幸せな状態が続くから。」
僕は、それを、身をもって、子供たちや保護者に示したいと思っています。

誤解のないように補足すると、太郎さんは、勉強をするなとは、言っていません。過去の号をご覧になっていただければわかるように、勉強したい子は勉強できる環境は整えていらっしゃいます。また、学び舎の子供達の学力が低いわけでもありません。

「それが出来るのは太郎さんだから。」とよくいわれるのですが、一度是非、ためしてもらいたいです。

好きなことをやらない理由の第一位は「最低限の生活を守れないから。」ですが、つきつめると、本当は、それに根拠がないことに気づくかもしれません。

 

【加速する時代背景格差の認識】
本題の『不登校』、とくに積極的不登校の子供達ですが、お話しした、「好きなことをしたほうが上手くいく」という流れを敏感に感じ取っているのだと思います。

「好きなことをしていては生きていけない。」時代は確かにありました。でも、それが、ものすごい勢いで終わろうとしているのです。

それは、地球の重力と月の重力くらい世界が違うかもしれません。

そもそも、生きる時代が違うという認識が大人に必要です。

でも、正直、まだまだ、過渡期です。学校にいかずに、自分らしい生き方をするために自分の好きなことをつらぬくというのは、やった人でないとわからない苦労があります。

普通の学校に行くより頑張らなくてはならないこともあるはずです。

それは、自分がどうしたら幸せになるのか、人任せにせず、小さなころから自分で考えなければならないからです。壁にもぶちあたるでしょう。好きだからと言って、楽なわけではない。忍耐も要求されることもあります。親や先生がひいたレールにのるほうが楽かもしれない。でも、好きだから乗り越えられる。

そういう選択をした子供に、積極的不登校の経験のないまわりの大人が言えるのは
「好きなことを信じてやりなさい。」
ではないでしょうか。そして、困ったことがあれば、相談にのるけど、押し付けない。

大リーグで野球をやろうとしている人に、大リーグのことを知らない人がアドバイスはできないですから。

時代はどんどん動いています。ケンブリッジ大学の授業がネットで買える時代。卒業資格はとれなくても、日本にいて、ケンブリッジの英知を学ぶことだってできるのです。

まずは、大人が法律すら追いつかない時代がもうすでに始まっている認識をしましょう。

 

このブログシリーズは「さつきやま森のようちえん」の元保護者で、太郎旅の参加者でもあるライターの山田詩乃が、読者目線で、太郎さんに今、聞きたい事をインタビューし、まとめたものです。

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