今回は経営者目線、園長目線の太郎さんのインタビューです。
「今年前半は、このインタビューブログでご紹介してきたように、照乃ゐゑで、スタッフ、子供、親一丸となって、より良い時間をつくりあげてきました。
昨年と今年、ビフォーアフターを保護者の声で表現するなら、『今のままでは困ります。』から『今のままで結構です。』となったんです。」
「大きな違いですね。具体的には何がどうなっているのでしょう。」
【スタッフの変化】
「スタッフは新旧メンバー誰もが力をあわせ必死で考え動きました。旧メンバーは新メンバーだから見え、言える意見に耳をかたむけ、働きやすい環境を整えていきました。
子供達に関しても、マイナスに見える反応が続くと、自分を責めたり、どう動いたらいいのかわからなくなったり、怖くなったりしますが、
『起きること、すべてが自然なこと』『子供の力を信じる』
という確信を持つことにより、視野が広くなり、落ち着いて対応するようになりました。
既存のコミニケーションスキルは一定の成果もあげますが、そのためには、やり方、守る枠があり、想定外のことが起き始めると、苦しくなったり、不自然さが生まれたりすることがあります。
でも自然のままというのは、なんでもありですからね。枠がありません。ある意味守られてなくて、危険がいっぱいです。保障されたものなんて何もない。一人一人が自分でなんとかしなければならない。だから、自然と「自分たちでつくる場」が生まれるんです。
スタッフが自由で自然なら、子供も自由に行動し学ぶことができます。
協力でつながったスタッフ間の関係性はすごく良く、飲み会やカラオケ大会も大盛り上がり。これって、今までになかったことなんですよ。
「意外!そうなんですね。」
「僕がより、やりたいことを選択し、ゆとりができ楽しんでいますから、スタッフも安心して、楽しんでくれているのでしょう。」
「組織におけるリーダーの在り方ってすべてに伝染しますもんね。」
【子供の目に見える成長】
「あと子供の目に見える成長が止まりません。
生え抜きの小学部の子の自己肯定感はすごいですからね。子供は元々自己肯定感は高いんです。僕たちは彼らに大人の「良い悪い」をできるだけ押し付けないように関わってきました。
その結果がここにきて、目に見える形になってきています。
小学部では内弁慶だった子が米炊き名人に育ちました。着火剤をつかわず、マッチ一本と薪の大きさやくべ方を工夫して、一定レベルのお米が炊けるんです。
また、自分達でほしい物をどうやったら手に入るか考え、実行し、達成していっています。たとえば、今回は夏にむけてかき氷がほしかったらしく、料理クラスにある予算を材料費を安くあげることで節約し、足りない分は募金を集めて、買う費用をつくりだしました。
今は、小学部とようちえんが一緒に行動することが多いので、そんなお兄さん、お姉さんは、ようちえんの子からは、一目おかれる憧れの存在。
時にはやりすぎる、ようちえんの子を絶妙なタイミングで止めるのです。気持ちが暴走した子供は大人に言われてもなかなか収まりませんが、お兄さんお姉さんに言われると効果抜群。いい感じにまとまっています。
ようちえんの保護者からしても、小学部の子供達の成長ぶりが見えて、『このままいけば、我が子もああなるのか』と安心できます。
また、ようちえんは、VOL10でご紹介したとき弱肉強食の『サバンナ』と表現しましたが『猿のむれ』に進化しました。
ライオン。『ドラえもん』でいうとジャイアン的な存在がいたのですが、やりきったのでしょうか、急に優しくなったのです。
力関係は変化し、圧倒的なリーダーはいなくなり、まとまり始めました。
スタッフも親も子供の力を信じ、見守った結果を実感しました。
自然の中で元気いっぱい遊んで、おいしい炊きたてのご飯を食べ、味覚をはぐくみ、
体力がついて、風邪もひかないだけでも、十分なのに、
親はここでは、「駄目」って言わなくていい。それが実感できるって親にとってもホッとすることです。本当は誰も子供に『駄目』っていいたくないですからね。」
「なるほど、保護者の満足感が上がった理由がよくわかりました。」
【法人としても育つ】
「それが実を結び、入学する子供が増えて黒字化しました。これからは、一般社団法人となります。」
「何が違ってくるのですか?」
「一般企業から寄付を募れます。経費で落とせるので、会社の利益を税金代わりに、直接教育関連の社会貢献として、森のようちえん事業を応援してもらえるのです。個人の方からももちろん寄付を頂きやすい環境になりますし。
そのお金を使って、子供の行動範囲の場を日本、世界にひろげたり、スタッフの育成やインセンティブにつなげて、ゆとりを生みだし、よりよい循環をひろげていきたいと思っています。
とりあえずは、10周年のパーティーを開催し、理解を深めてもらおうかと。僕も経営者として対外的にプレゼンしていくつもりです。」
「経営者っぽいですね(笑)10年続いた秘訣ってなんでしょうか?」
「お金を稼ぐことを目的にするのではなく、子供を幸せにするアイデアを形にし続けたことでしょうかね。
秘訣はモチベーションを長続きさせることです。
僕にとって、これ、楽しいな。子供よろこぶだろうなっていうモチベーションは枯れることがありません。」
※このブログシリーズは「さつきやま森のようちえん」の元保護者で、
太郎旅の参加者でもあるライターの山田詩乃が、読者目線で、太郎さんに今、聞きたい事をインタビューし、まとめたものです。
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