「最近の森のようちえんはどうですか?」
「楽しいですよ。昨日は祝日だったので、『父ちゃんズ』達も参加してくれまして、自分達が食べたい、パンとかお肉とかお餅とかを持ち込んで、『照乃ゐゑ』の囲炉裏で焼いてね・・・。」
そう、「さつきやま森のようちえん」では、お父さん達も積極的に参加します。祝日が登園日になることも多いのも、彼らが参加しやすいようにという配慮からだとか。
もちろん親としても、子供の成長を見守りたいというのは、ありますが、よくある、義務的なPTA活動というよりは、自分が楽しみたくて、行きたくて参加している感じです。
その核には、「親父の会」なるものがあります。いわゆるお父さんたちの懇親会で、2012年「さつきやま森のようちえん」がスタートすると同時に、太郎さんが「お父さん達と飲みたい!」とよびかけて始まり、はや6年。
現役、卒園生に関係なく森のようちえんに関わった父兄が、池田の知る人ぞ知るディープな店に夜7時に集まって11時くらいまで、飲んで食べて話に花を咲かせる会が、1~2か月に1回行われています。今回はこの親父の会の魅力についてききました。
「まず、『親父の会』では、奥さんへの愚痴とかは、ほとんど出ないんですよ。
仕事の話、最近のニュースの話、趣味の話。どんなアニメが好きだとか・・・。それぞれのもっているバックボーン的な話が多いかな。子供を介して集まっているので、年齢、出身、職場もみんな違っていて、話がすごく面白いんです。
まさに異業種交流会なんですが、父友ってそこから仕事につなげようとか、そういうのじゃないし、上下関係とか利害関係がないのがいいんですよ。学生時代の集まりの気兼ねなさに似てる。『父ちゃんズ』っていうんですが、もう昔からの友達のようですね。困った時は、相談できるし・・・。お勘定は、清く正しくワリカンだし(笑)、そういう関係って、普通、今からはなかなか手に入らない。
しかも、『親父の会』は、お母さん達『母ちゃんズ』公認なんですよ。飲んで遅く帰っても怒られない。むしろ、『行ってきたら。』って勧められる。一応、園がやっているように見えますし、来ている人もわかっていますしね。安心ですよね。
名前もあだ名で呼び合うんですよ。そして、子供達も他のお父さんを、『○○ちゃんのお父さん』ではなく、親しみを込めて、そのあだ名で呼んでいます。『父ちゃんズ』は、園の活動にも積極的に参加もしてくれていますが、それ以外にも、『親父の会』でもりあがって『釣り部』が出来たり、BBQ、日帰りの父子旅を企画したり。他の子供達とも交流が自然と深くなるんです。
いいですよ。父子旅で、遊園地とかに行ったりするんですが、僕が回転系が苦手だったとするでしょ?すると、他の得意なお父さんが僕の子と一緒に乗ってくれたりするんです。
クリスマス会では、『父ちゃんズ』が毎年、踊っていますし。古株のお父さんは、もう子供達のアイドルですね。
家族にとってもいいことが多くて、お父さん同士がつながっていると、お付き合いが家族ぐるみになるでしょ。安心して、子供達も行き来させられるし、引越ししても繋がれるんです。よく、遊びに行きたい時に『今日は、主人がいるので、ちょっと・・・。』みたいなものがなくなるんですよ。
また、いろんな職業の人がいるので、得意分野で力を貸していただいています。小学部が、職場見学させてもらったりとかして、生きた授業ができたり。学び舎としても助かっています。」
最後に、お父さんが積極的に子育てに参加することで、子供に何が育まれるのかについて改めて聞いてみました。
「お父さん、お母さん、身近な人間の二つの違った価値観が入るのがいいと思うんです。
たとえば、お父さんと二人で出かけると、普段、お母さんと一緒だったら、食べない食事とか、買ってもらえないお菓子とか、与えられたりとか、ちょっと、ちがった甘やかし方されたり・・・。
でも、それがいいと思うんです。
自然と多様性が育まれる。」
確かに、我が家でも子供が主人と出かけると、私だったら絶対買わないようなものを買っていたりする・・・。でも、それが、多様性を育むのにいいのですね。まして、森のようちえんでは、いろんな家族のお父さんやお母さんがみんな一緒になって子育てをしている感じ。多様性・・・「みんな違って、みんないい。」・・・そういう感覚が養われる基本が、お父さんの子育て参加でできているのですね。そして、それを狙って始まったわけではないのに、結果として「親父の会」がそれをしやすくさせているのが素敵だなと思いました。
さて次回は、「親父の会」から、「雷親父」の話になり、面白い話が聞けましたので、そちらをご報告します。お楽しみに!!
※このブログシリーズは「さつきやま森のようちえん」の元保護者で、太郎旅の参加者でもあるライターの山田詩乃が、読者目線で、太郎さんに今、聞きたい事をインタビューし、まとめたものです。
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