山田「2023年度がスタートしましたが、森の学び舎は昨年との違いって、どうですか?」
太郎:学び舎は、スタッフがすごく成長してきています。
山田「具体的にはどんな風に?」
太郎:やりたいことを言い始めたんですよ。意見を求められたことには答えますが、自発的に行動してくれるので、園での僕の存在が薄くなっていっています。
その方がいいんです。跡継ぎが出来るし、いろんな問題をいいかたちで解決できるし、子供達ともコンタクトをとってくれるし。
中高部の子供達にとっていい背中をみせてくれています。
山田「中高部の子供達を一年、見てきてどうでしたか?」
太郎:1年前の今頃は、保護者の方からの依頼もあって、
「太郎のスキルを伝えること」
「太郎の人脈を紹介すること」
などをどうするか、与える質や量をスタッフと共に考えていましたよね。
子供は先を見通す力が弱いので、そのあたりの情報与えたり、チャンスを転がしてみましたが、ほぼスルーされました。
山田「例えば?」
太郎:子供達に月3万円与えてみたら、最初は使い方を活発に検討していましたが、結局使わないで30万以上貯めています。
統一地方選挙が行われた時も、園の運営費の件で、候補者に話をしに会いに行くことを提案してみました。それも、しませんでしたね。
山田「醤油づくりはどうなりましたか?」
太郎:醤油づくりを学んで、何をしたいか聴きました。販売したいというので、免許がいることを伝えました。
醤油搾りの仕事がしたいとい子には、醤油づくりの宮崎さんのところに行けば学べることを伝えました。
麹をつくりたいという意見には、麦を売ってくれる人を探さないと次の冬に間に合わないことを伝えました。
でも、そうなると子供達は自信がないと言って前にすすめませんでした。
やるかやらないかは、子供に任せていますから・・・。
やるという宣言をしなければ無理にさせることはしませんでした。
山田「では、子供達は何をしていたのですか?」
太郎:野球したりお菓子作りしたり、みんなやりたいことをしてきました。
仲間と一緒にいることが心地良いようですよ。
安心出来る場をつくったようです。
山田「それは、思春期の子にとっては貴重な場ですね。では、課題と思うことはありますか?」
太郎:一人でいても大丈夫という境地。一人で楽しめるところには辿り着いていないかな。
山田「それは、大人でも難しいことですね・・・。」
太郎:一人でいて大丈夫となると、自分の好きなことを
「どうしたらいいのか」
と自分に問い、深掘りを始めたり、子供達がうごきはじめるかなと思っています。
山田「いわゆる、太郎さんのいう自分で「問い」をたてて、仮説検証できるようになるということですね・
太郎:それを、自ら沸き起こる気持ちでトライして、クリアーして、「やったぜ」ってなって自信がついていくんです。
学び舎にいる子ですら、この状態ですから、
「やりたいことがわからない。まわりの目が気になる。」という日本社会の構造、文化は相当な物です。そんなこと言っているうちにAIにすべて取って代わられるでしょう。
15~34歳の若い世代で死因の第一位が自殺となっているのは主要先進国でトップとなっている現実、そういう人間を育てる土台をつくっている教育委員会のお役人が相当遅れているせいだと思います。
失敗してもいいから突っ込んでいけばいいんです。
ここが2年目の課題です。
僕が音頭をとるとやらせることになるので、成長してきたスタッフの姿を見て、挑戦してもらえたらいいなと思っています。
そして、僕は自然を解き明かす喜びを続けようと思います。
山田「そういえば、今、自然で気になっていることあるんですよね?」
太郎:チャットGPTと温暖化が似ているという話ですね。
今年、花が咲く時期が早まったせいで、時期が詰まって、一斉に咲いてしまいました。
桜から藤まで2,3週間なんて異常です。
これは、蜂や蝶の昆虫にとっても食料危機だし、植物だって受粉が出来ないのだから
存続の危機です。
海面上昇も、真水が海に入って塩分が減ると海の生態系が変わります。
温暖化は地球にこの先どんなことをもたらすのか分からない。
チャットGPTも人間にどんなことをもたらすのか、本当はまだ誰もわかっていない。
勉強の意味がなくなるのか?仕事がなくなるのか?
いずれにしても、順応していくのがテーマです。
このように自然と社会とのつながりを解き明かしながら、本を書いて
自然破壊とお金のつながり
学校と楽しくない学び
幸せについて
伝えていって、僕の興味をもっている「問い」を本に書くので子供、保護者、スタッフの役にたてばいいなと思います。
このブログシリーズは「さつきやま森のようちえん」の元保護者で、太郎旅の参加者でもあるライターの山田詩乃が、読者目線で太郎さんに今、聞きたい事をインタビューし、まとめたものです。
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