学び舎の教育方針には「幸せに生きる力をつける」というのがあるのですが、太郎さんは最近、人間、究極、この力を身につければそれでいいのではと感じているそうです。ただ、幸せになるにはレッスンが必要で、子供達より、大人の方が苦戦するのだとか。
太郎:学び舎の教育方針も今までは色々言ってきましたが、今は2つに絞っています。
1つは「幸せに生きる力を付ける」もう1つは「自分の気持ちが確認できて、相手の気持ちも聞ける。
山田「そもそもなのですが、太郎さんが考える幸せってなんですか?」
太郎:慶應義塾大学システムデザイン・マネジメント研究委員長・前野教授が提唱する「幸せの4因子」を日常にすることだと思います。
山田「幸せの4因子について具体的に教えていただけますか?」
太郎:簡単に言うとこの4つ
1、やってみよう(自己実現と成長)
2、ありがとう(つながりと感謝)
3、なんとかなる(前向きに楽観的)
4、あるがまま(じぶんらしく)
これが当たり前になっていくのが理想の幸せな状態です。
でも、この状態が自分の中や環境にいつもあるのは一般的にはなかなか難しいと思います。
そもそも大人が実践できていないし、特に日本では難しいです。
今の日本の教育は幸せの4因子の真逆ですから。
例えば、
- チャレンジすると失敗する。やめよう
- 心からありがとうなんて言えてない
- なんとかなんてならないし、勉強しなければならない
- あるがままでいたらいじめられる しかられ 出る杭はうたれる
これが当たりまえだから
学び舎は幸せになる方を選びます。
山田「今までは2つ以上あったのですか?」
太郎:そうなんです。振り返ると、自己肯定がどうとか、自由と責任とか難しいこと言ってましたがそのあたりはどうでもよくなってきて、幸せだったらいいんじゃないかと。
ただ、幸せになるには、誰かとシンプルなコミュニケーションをとるのが鍵なんですが、言葉にすると簡単ですが、これが大人は以外と難しいので練習がいります。できない瞬間は自分の中で何かがひっかかっているんです。
山田「例えば、具体的にはどんなことなのでしょうか?」
太郎:例えば、先日学び舎であったことですが、スタッフが、自分のモヤモヤの原因を子供に押し付けた事例があります。
子供が何か言い合っていて、急に一人の子が走り出し、もう一人の子が追いかけました。
その瞬間、スタッフは追いかける子を制止したんです。これ、うちの方針的にはNGなのですが、何が問題かわかりますか?
スタッフは、走り出した子は、その場から辛そうな顔で逃げたから、守らないといけないと思ったそうです。
山田「普通にありそうなシーンです。」
太郎:でも、これって、子供はスタッフに「守って」と言ってないんです。
止めたかったのは大人であるスタッフです。しかも、なぜ、自分が止めたいのかもわからず止めたのです。
自分の気持ちを確認せずに踏み込んで、子供達の気持ちも聞けていないのです。この場合、このスタッフは、問題を裁く裁判官の位置です。
山田「普通、大人や先生ってそういう場面に遭遇したら、そんな風にする人も多いでしょうね。」
太郎:でも、ジャッジはだれも求めていないし、そもそも喧嘩の当事者ではない。
関わるなら、許可を得なければなりません。
「二人をみていて、モヤモヤするから、気持ちをきかせてくれる」と。
だいたい、自分がモヤモヤしたのはなぜなのか気付く必要があります。
昔のトラウマに関係するかもしれないし、自分のポリシーにふれたのかもしれない。
でも、そこを明らかにず、目の前のきつそうな顔をした子供がいたから、追いかける子をとめたというのは。子供を守っているようで、自分の行動の責任をとらず、子供に責任を負わせていることになるんです。
山田「このあたりは、日本の一般の大人の考え方と違うから、読者様も?って思うところかもしれませんね。もう少し、ご説明いただけますか?」
太郎:スタッフが子供達が言い争う姿をみて、危ないから止めたというのは、「私は正しい存在です。」という位置にいるんです。
本当におきていることは、スタッフがその様子を見て、なにかに触れて辛くなったから止めたのです。
子供達はそんなきつい状態ではなくて、遊んでいただけかもしれない。場をはなれたのはトイレに行きたかったからかもしれない。
だとしたら、このスタッフは学び舎の方針にしたがってとる行動は
「なにか大きな声をだして言い合っているけど、二人をみていると私は胸がモヤモヤするんで、なにがあったのか聞いていい?」
と聴くことから始めることです。二人の問題に参加表明してから関わる。そして、ふたりがどんな気持ちなのか確認が必要でした。
自分のモヤモヤに気付いて、それを隠さずに関わるのと、自分を隠して、ジャッジする大人として危ないから止めるのでは大きな差があります。これって練習しないと出来ないんです。
学び舎にスタッフに入ると、この練習をすることになります。
AIがこれだけ発達中の今、ジャッジや相談の最適解はもうコンピューターがやってくれるので、僕たちがやることは
「自分が幸せだと感じる方法」
日々トレーニングすることなんだろうと思うんです。スタッフだけではなくてもちろん子供達もです。
特に一般の学校から、学び舎にくると半年から1年間、素直にできない自分、猫をかぶってしまう自分に苦しむことがあります。
身についた習慣はやすやすと手放せません。トライし始めは大変です。自分に気付いて、言葉にするトレーニングしていくしかない。
山田「それって、実際、みなさん、続けられるのですか?」
太郎:今は苦しみ、もがいても、結局、楽しそうな方に人は向かいますからね。自分の気持ちを隠してコミュニケーションするのを手放した方が、楽しいにきまっているし。
自分は自分であっていいってわかると、自信になるんです。
だから、僕たちは、子供達に教育方針として、「幸せに生きる力を付ける」と「自分の気持ちが確認できて、相手の気持ちも聞ける。」ように
「自分の気持ちを話しても変だと言われない場」
を用意するんですよ。
このブログシリーズは「さつきやま森のようちえん」の元保護者で、太郎旅の参加者でもあるライターの山田詩乃が、読者目線で太郎さんに今、聞きたい事をインタビューし、まとめたものです。
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