前回、学び舎の代表の後継者選びで悩んだ太郎さんが、その責務を中高部のメンバーのまかせてみてはどうかと思いついた話をしました。今回は、その続きと、そもそも、どうして、太郎さんが、そんな簡単にせっかく作った会社を手放せるのか?お金のことも絡めてお聞きしました。その結果、太郎さんの壮大な計画が見えてきました。
山田「もし、これを子供達が受け入れてくれれば、森の学び舎って、自然学校指導者養成スクールであり、自然事業経営者養成スクールにもなりますね!!」
太郎:本当にそうですね。そういった思惑は一切なくて流れでこうなっているんですけどね。
山田「いやもう、それは、インタビューさせていただいていて、よくわかります。でも、逆にどうして、今までおもいつかなかったんですかね?
太郎:普通はお客様にかわりに仕事をやってくれとはいいませんよね。食べに来ている居酒屋のお客様にお店の運営まかせるってあり得ないでしょう?まあ、僕は子供達をお客様とは思っていなかったけど、一般概念としての思い込みがありました。
山田「そもそも、太郎さんはせっかく作った会社をどうして簡単に手放せるのですか?黒字化しているのにお金とかいいんですか?」
太郎:そうですよね。それを理解してもらうには、成り立ちから話す必要があります。
僕は、元々、上高地の山のガイドをしていて、自分の子供の教育の場として、森のようちえんをスタートしましたが、このとき、同時に海外のエコツアーガイドの仕事も始めたのです。
この二つをつないでいるキーワードは「自然」そして、どちらも僕が「やりたいこと」でした。
最初、森のようちえん事業は、このブログでも最初の方でお話したように赤字で僕の旅の売り上げから、まかなっていました。
でも、黒字化してからも、実は一銭もうけとっていないんです。
黒字化してからは、「さつきやま森の学び舎」と名前をかえて一般社団法人にしました。
一般社団法人だとスタッフへのお給料は支払えますが、株式会社とちがって儲けに走ることはできないんです。出た利益はすべて教育事業にしか使えません。
儲けることが悪いとはおもっていませんし、その力はあると思っています。僕の場合は、海外のツアーを株式会社にして利益を出しているんです。
でも森の学び舎は一般社団法人がいいと思いました。公共性があるし、非営利団体にして、お財布をちゃんと分けました。
そうすることで、子供達と純粋に関わることができるのだと思います。もし、これが株式会社だったら、どうしたって、子供達の顔がお客様にみえたり、もっというとお金に見えてしまうかもしれないでしょ。
山田「塾の漫画で、はっきり、そう言われているのがありました。」
太郎:収入と直結させていないと気が楽なんです。子供と純粋に関われて、結果的に子供達から上質の学びをいただいています。それが大切なんです。
だから、学び舎で儲ける気とかはそもそもないんです。代表理事を下りてもお金の面は何もかわりません。
僕自身は、生きていくためのお金は自分一人でなんとでも生み出せる自信があるし、たくさんのお金より「自由」でいる方が大事だと思っています。
それに、教育の特化した一般社団法人のおかげで国からの補助金がもらえる可能性も出てきました。
平成29年2月に施行された
「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」いわゆる
「教育機会確保法」で不登校児の支援に関する法律のおかげで
陳情すれば森の学び舎に通えるお金が下りる可能性が高くなったのです。
うちの園がこれに成功すれば、お金を気にせず、どの子もオルタナティブスクールに通える選択肢が増えるんです。
山田「それはすごいですね。」
太郎:僕がすすめていることが叶えば、全国の森のようちえんが悩んでいる、後継者問題と資金繰りの問題が一気に解決できるかもしれないです。
引退したら、全国を講演会でまわって、市町村に一つずつ、そういった学校が出来る時代がくるようお手伝いをしてもいいなと思っています。
このブログシリーズは「さつきやま森のようちえん」の元保護者で、太郎旅の参加者でもあるライターの山田詩乃が、読者目線で太郎さんに今、聞きたい事をインタビューし、まとめたものです。
この記事へのコメントはありません。