今回は、夏に行われた、小学部の太郎さんの特別クラスのお話を聞きました。
太郎さんの特別クラスのテーマは「自然と旅」、今回は浜松の特定非営利活動法人サンクチュアリエヌピーオーの協力のもと「ウミガメを守る」体験をしてきたそうです。
「そもそも、ウミガメを守るって、鳥や動物からですか?」
「まあ、それもありますが、基本は人間から守るのです。」
「人間!?」
「ウミガメの卵って、1個1万円で売れるのです。孵化したウミガメの子供は1匹30万です。一回に100個ぐらい卵を産んだとしたら、100万円!全部孵化させたら3000万!!法律で禁止もされているのに、密漁者が後を絶たないのですよ。
だから、定期的にパトロールして産卵した卵を掘り起こして、囲いのある安全な場で孵化させて、海に放流するんです。
孵化した後、海にもどるときにも人間の文明が邪魔をするんですよ。
ウミガメの赤ちゃんは本来、月のあかりをたよりに海に帰るのですが、街の灯りを勘違いして、陸に向かってしまうのです。
あと、釣りやサーフィンに来た人の車のわだちも、ウミガメの赤ちゃんは越えられない。
だから、孵化したあと、海に帰るところまでお手伝いするんです。
7月は産卵後の卵をほりかえして移す体験。8月は、孵化したウミガメの赤ちゃんを海に放す体験をしました。
それから浜辺のプラスチックのごみを拾ったり。」
「まさにエコな体験ですね。」
「他には、魚釣りにいったり、海水浴にいったり、鉄道の旅をしたり。思い思いに過ごしました。
今回、お世話になったサンクチュアリのスタッフよっちゃんは、僕の20年来の友人で、海のプロフェッショナルです。僕は山と川が専門なので、海へ行くときは海の専門家の力を借りました。」
「一概にエコツアーといっても、いろいろな分野がありますものね。でも、ガイド同士の横のつながりがあれば、コラボして色んなツアーができるのも太郎さんの強味ですね。」
「僕は、今回は鉄道が好きな3年生の男の子と天竜浜名湖鉄道に乗る二人旅を選択しました。時刻表をみて、何時にどれに乗ったらいいかとか旅のプランは全部その子がたててくれたのですよ。
ふだんとってもおしゃべりが好きな二人なのですが、この日は6時間中、5時間半は話しませんでした。それでも、大好きな電車に乗って、外をみたり、寝たり、お互いやりたいことをやって、彼は大満足したみたいです。」
「熟年夫婦みたいな空気感。信頼しきっているというか、横でただ、やりたいことをやらせてくれる。お互い気を遣わなくていいのでしょうね。それが、いわゆる校長先生と生徒の関係で生まれているなんて、凄いことです。」
「宿に帰って、他の子が海で遊び疲れているところ、彼は、余力もあったので、率先して、料理を作ってくれました。(森の学び舎では、ようちえんの頃から料理クラスがあって、作れるのが当たり前なので、さらりと言っていますが、3年生男子が普通にご飯を作れるのも一般的には驚きですよね。)本当にやりたいことをやりきって満足していると、人ってお手伝いや人の役に立つことが自然と出来るんだって改めて思いました。」
そうそう、これなんですよね。太郎旅の本質。本当にやりたいことをとことんやりきらせてくれる。
そうすると、深い満足が訪れて、ご機嫌で自然と人にやさしくできるようになる。
大人は、たった、一週間の旅で経験するだけでも、ものすごい気付きや感動があるのですが、森のようちえんや学び舎の子たちは、その環境が毎日あたえられているのです。
「毎日楽しくってしょうがないみたいなんですよ。だから、みんな『なんで夏休みなんてあるんだ』って言っていました。」
夏休みよりも楽しいといわせてしまう学校。最高の褒め言葉ですね。
※このブログシリーズは「さつきやま森のようちえん」の元保護者で、
太郎旅の参加者でもあるライターの山田詩乃が、読者目線で、太郎さんに今、聞きたい事をインタビューし、まとめたものです。
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