森の学び舎のようちえんはもちろん、小学部でも勉強は教えていません。もちろん、宿題もありません。太郎さんには、よく、子供に基礎学力はつけないとだめなのではないかという質問があるそうです。そんなとき、太郎さんはどうこたえるのでしょうか?
太郎:僕はこの質問に答える前に、
「どこまでが基礎学力なのか?では基礎学力ってなんなんですか?」
とお聞きしたいんです。
基礎学力って実は定義がない。
だから、どこまでもやらないといけなくなる。
基礎学力という言葉の呪縛によってですよ。
答えがないものが基準になっているんです。
学び舎の子供は自然と学んでいます。
今は、学ぶものがたくさんありますからね。
僕らの時代と全然違う学び方です。
例えば、ゲームで「動物の森」ってあるんですが、
このゲームをやりたくて文字を覚える。
攻略本まで読めるようになります。
早く理解しないと遅々として進まないから。
コンピューターの意図までくみ取るようになります。
最低限、ひらがな、かたかな、数字が理解できるようになりました。
漫画の「鬼滅の刃」でみんな競って漢字を覚えます。
あれ、難しい名前がいっぱい出てくるでしょ?
書けたらカッコイイんです。
でも、それじゃ足りないという方がいる。
では、どこまで学べば基礎学力なのでしょうか?
僕は勉強するなとは言っていないです。
ただ、子育てをする親が、定義、基準がないまま、
「勉強しろ。」って、言い続けると
地図のない状態で外国を歩くのと同じで、
それは誰だって不安なんです。
親に基礎学力という基準があって、
「このぐらいで幸せになると思うと。子供にこれがあれば安心だよ。」
といってやらないといつまでも、子供に安心があたえられない。
まず、おのおのの家庭で基準をあわせることが必要です。
意外と、この基礎学力の概念、夫婦で違いますよ。
だいたい受験で切羽つまってから、話し合うと、喧嘩になります。
この基礎学力というのは、親の方も
毎年基準が変わるんですよ。
生まれたての赤ちゃんに何をのぞみますか?
山田「無事に生まれてくれてありがとう。健やかに育ってほしい。」
太郎:ですよね。でも、だんだん、子供に望むレベルが上がります。
毎年すり合わせしておいても足りないぐらいです。
一番の問題は、外に基準を求めること。
「同年代のまわりにあわせよう。
親や友達、先生、学校、メディアなどのまわりの基準に応じよう。」
と頑張れば頑張るほど絶対、迷子になります。
それで一番苦しいのは子供達だし、親だって苦しいです。
それをやわらげるのは、自分にたちもどって外には応じない。
自分の基準を取り戻すんです。
だいたい、外に答えを求めたって、みんな同じで正しい答えなんてわからないんですから・・・。
たまにいます。
旅にいっても呼吸もしないで、
太陽の明るさを感じないで、
こんなにも美しい景色もみないで。
まわりのことばかり気にして楽しめない人。
でも、その人が安心できる基準ができれば、力が抜けるんです。
基準をみたしていけば。こころに余裕が生まれます。
人生の旅も一緒です。
山田「太郎さんの基礎学力の基準はなんですか?」
太郎:僕の教育の基準は子供が夢を叶えるために必要な学力です。高校生の読解力があればいいと思っています。それ以上求めなくなったら楽になりましたよ。
山田「ずっと前からその基準は持っていたんですか?」
太郎:いや、3,4年前くらいから考えはじめたんです。実際、僕が夢をかなえる経営者として生きていく上で必要な学力はなんだったかを。
足し算、引き算、掛算、割り算、想像力、時間の概念・・・。最終的に子供が高校の教科書を読んで理解できるようになれば基礎学力があると判断しました。
そして、すでに5年生の長男は、イルカ好きなものですから、参考に高校生が読むレベルのくじらの本を与えたら読め、理解もできたので、
「お前はもう基礎学力はついた。」
と伝えたところです。
するとね、あとは、学びたいことだけ学べるので彼にとって、楽になったと思います。
ご家庭の事情で違うと思いますが、できればお子さんの意見も交えて話し合えたらいいですよね。
こういうズレに気付きもしないで走り続けているのが、一番みんなしんどいと思います。
そういう意味では、
僕達の学び舎は立ち返る教育方針を常に確認しています。
大きなところでは、年に3回、教育方針の読み合わせを保護者やスタッフと2時間かけて行っています。
1回聞いても理解できないし、10回聞いても新しい発見があります。
言葉はかわってないけど、内容は変わり続けているから。
山田:「どんな教育方針ですか?」
太郎:ずっと言ってきたことです。
「今やりたいことが一番目。想像力、つながり、自己肯定感、自由と責任を育む。」
とかですよ。でも、事例をスタッフに言ってもらうと、どんどん新しい気付きがあるんです。
家族、学校 会社・・・チームで動けば、迷いも生じます。
でも基準となる地図や旗印があれば
不必要な不安なく、人生の旅をたのしめるという
ツアーガイドの側面もある太郎さんらしいお話しでした。
このブログシリーズは「さつきやま森のようちえん」の元保護者で、太郎旅の参加者でもあるライターの山田詩乃が、読者目線で、太郎さんに今、聞きたい事をインタビューし、まとめたものです。
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