新型コロナウイルス騒ぎの中、太郎さんの運営する森の学び舎は、静かに中学部をスタートさせました。普通だったら、大ニュースなのに、何かの話のついでに太郎さんが、「もうすぐ中学部にあがるK君の飯炊きの弟子が出来て。」とぽろっと話し、聞き返しました。
「中学部ができるんですか?」
太郎:実は、そうなんですよ。小学部6年生のお母さんから、
「子供が残りたかっているんです。森の学び舎の(小学部)という枠を外して範囲を広げてくれたら、息子はここにいられるし、彼のタイミングで卒業できるようにできませんか?」
という問い合わせがあって、スタッフになげたら、みんな
「問題ない」
っていうんで、とりあえず、三者面談したのです。本人に確認したら、やっぱり、
「俺は残る。」
って言いきる。彼は、フリースクールに進学希望で、いろいろ探していたのですが、行きたかったところが定員いっぱいだったそうで、そこにいけないなら、ここに残りたいと。強い意志が確認できたので、
「スタッフのミーティングと研修に参加するんだったらいいよ。」
とOK出しました。
「この時点で、中学部が出来たのですね!」
太郎:そうですね。中学部を新たにつくったというより、森の学び舎(小学部)の(小学部)をとって、中学生の年齢もいてもらってもよくなったんです。小中一貫校みたいな。でも、さすがに高校生の年齢になったら生徒としては受け入れないつもりです。どうしても、ここにいたいなら、スタッフとして働いてもらうかな。(笑)
中学生の年齢は大人と子供の間。森の学び舎でいうとスタッフと子供の間です。だから、スタッフの動きを理解してもらいたいと思っています。一番身近な大人の世界を知ってほしいんです。
安全管理や、コネクションプラクティスも学んでもらいます。コネクションプラクティスは、スタッフが子供に関わる時のベースになるコミュニケーション術で、子供達はスタッフから、その関わり方をされていても研修はないんで、理解する良い機会になると思います。
まあ、でも何も変わらないんです。小学部と学費は一緒にするつもりですし、中学部つくるっていっても、内部進学者に限ろうっと思っているんで。
「それはどうしてですか?」
普通は既存の教育で押さえられて育っていますから、学び舎に来ると最初は、加減が出来ず、思いっきり発散するお子さんもいます。幼稚園や小学生レベルならスタッフも見守れますが、中学生は力も強くなりますからね、ここは小さな子供もいますし、中学生から受け入れるというのは難しいと判断しました。
だから、さつきやま森の学び舎は、「親子クラス」、3歳から未就学までの「たんぽぽクラス」、小学生と内部進学中学生の「虹色クラス」という構成になりました。まあまあの大所帯になるので、2クラスに分けるんです。
月曜日 Aチーム古民家に行く、Bチーム自由行動
火曜日 合同特別クラス(料理、アート、木工、プログラミング、科学実験、太郎クラス)
水曜日 小学部のみ古民家とか自由活動
木曜日 休み
金曜日 Aチーム自由行動、Bチーム古民家
こうなると中学部の彼は、羽釜をつかった飯炊きが上手いので、彼がいないチームになるとお昼に美味しいご飯が食べられなくなることから、彼の弟子が自然発生しました。(太郎さんは、最初この話がしたかった。)
「ここで、大人が彼を超える腕前になろうとしないのが重要なんですね。こまったら、子供がちゃんと先輩から学ぶ。そうして、技術は継承される。すばらしい!!ところで、火曜日の特別クラスは充実していますね。」
太郎:料理は子供料理教室の先生だけでなく、本物の割烹やお寿司屋の厨房に立ったりします。
アートはアーティストさんにフライドポテトでジェンガとか積木したり毎回独創的なことを提案してもらっています。
木工は木を彫って40年の木彫刻家から道具を使い方を学んだら何をつくってもいい。木の端材を利用して、マイクラみたいに町を作っている子もいますよ。
プログラミングは、説明してくれたり、相談にのってくれる先生がいますが、専用のアプリをつかって、子供がゲーム感覚で勝手に勉強をすすめられるプログラムにしています。
科学実験は宝塚で科学実験教室をやっている先生に来てもらって、このまえは、「どっかんするのはどんなとき?」って内容で水素爆発とかさせていました。
太郎クラスは、古民家のメンテナンス、山の手入れ、草刈、階段づくり、湧き水の掃除をして、暮らしや地域とつながっていきます。遠出して、たけのこ狩りや、潮干狩りすることもありますよ。
講師の半分くらいは、僕の飲み仲間だったりしますが・・・。
こんな感じで、森の学び舎は、中学部も静かにスタートし、令和2年度の森の学び舎が始動します。今年度もどんなドラマを見せてもらえるか楽しみですね。
このブログシリーズは「さつきやま森のようちえん」の元保護者で、太郎旅の参加者でもあるライターの山田詩乃が、読者目線で、太郎さんに今、聞きたい事をインタビューし、まとめたものです。
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