VOL108で、中高部では株式会社をつくると思っていたのが、毎日、何もしていないように見える子供達に、太郎さんは想定内だったけど、周りが戸惑った話をしました。そして、前回VOL109では、小学部と比較したときに見える成長についてお伝えしました。そして、
今回は、中高部の中で見えた親子の兆しをお伝えします。
太郎: まずね、中高部も、小学部も、親の会が自然に発足したんですよ。
山田「太郎さん所はPTAとか別段ないですもんね。でも、これから5年は、親や子供が運営にたずさわっていければいいなって、話されていたところでしたね。」
太郎:今までは、古株のメンバーで構成されていたので、必要なかったんですが、中高部も、小学部も一新されたので、保護者同士で連絡とりあって、安心のためにも情報交換しているようです。
特に中高部は、前例がないだけに不安が大きいと思います。どこにたどり着くのか、全然見えませんからね。
僕に質問もよくきます。小学部を立ち上げたときみたいですよ。子供もスタッフもちゃんとは見えてない、古株のご父兄だけが、ああ、あの感じかって見守ってくれています。
山田「なんとなく嬉しそうですね。太郎さんにしても、中高部は始めてのことなのに、子供達の中から、何かやりたいが芽生えてくるのを、ゆったり構えて、待っていられるのはどうしてですか?」
太郎:それは、森が出来るまでを知っているからです。火山島が森をつくるまでを知っていますか?最初は真っ黒ですが、
鳥が種を運んできて、何度も雨がふるうちに溶岩地帯で生きられる植物が生え、低い木が生え、だんだん森が育ち、生き物が育まれていくんです。必ずそうなっていくのを知っているから、待っていられるんです。
山田「答えは自然界を見ていれば分かるということですね。」
太郎:でも、そんなに長く待つ必要はないようで、2人ぐらい動き出す兆しが見えてきました。
一人は男の子で、大阪、千日前の道具屋筋に
「砥石買いたいから連れて行ってくれ。」
と言うので連れ出しました。
ついでに、僕がお世話になっている税理士事務所に用事で立ち寄ったんですが、偶然、所長に会えて、税理士の仕事について面白く話してくれたのです。彼は真剣に聴いていました。
彼は、そのとき学んだと思うんです。行動すれば、想像もしなかった展開があって、新しいことが学べるって。
山田「凪いだ水面に、石を投げ入れるアクションを起こすと、波紋が起こる感じですね。」
太郎:そういうことです。他の子が一緒に行かなかったから余計わかったんじゃないかなと。もし、これが、一斉に、税理士の先生の話をきかせても、興味のない子も出てきて、お互い、あまり良い時間にならない。
山田「大人のビジネスの世界でも一緒ですよね。これって、コツのコツの部分だけど。それを中学生で体感できるって凄いですね。」
太郎:もう一人の兆しは女の子で、株式会社をつくることに意欲をもって入ってきた子なんです。
せっかく、楽しみにして入ってきたのに、周りが何もしなくて、家で想いが爆発したって、ご父兄から報告をもらったんです。
山田「・・・それ、まずいんじゃ(心の声)」
太郎:何もないところって、何かやりたくて入ってきた人には、ストレスがかかるんで気持ちが爆発するんです。
でも、その爆発するほど強い「やりたい」気持ちがあれば、実際、行動に移したときに、ちょっとやそっとでくじけないんですよ。
彼女は自分の中の「求める」気持ちをはっきり認識できたと思います。良い兆しだなって思いました。
山田「なるほど!」
群れて動くのにリーダーを持たないペンギンが、喧嘩に強いボスやリーダーではなく、いち早く察知した一羽の後に続いて行動する、その最初の一羽を「ファーストペンギン」といいますが、まさに、森の学び舎の中高部で、そのファーストペンギンが何かを気付いたのかもしれませんね。
このブログシリーズは「さつきやま森のようちえん」の元保護者で、太郎旅の参加者でもあるライターの山田詩乃が、読者目線で太郎さんに今、聞きたい事をインタビューし、まとめたものです。
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