前回、森のようちえん附属の中高部ができる話をお伝えしました。今日はそのプログラムの詳細と背景、そして、自然系ビジネスは成功が難しいと言われるなかで、太郎さんがどうしてうまくいっているのかをお伝えします。そこには、太郎さん独自の枠の外から見たメタな視点がちりばめてありました。
山田「前回、高等部のお話をお伺いしたわけですが、中高部の場作り、地域との交流、高卒認定試験の勉強の他に、どんなプログラムを考えているのですか?」
太郎:まずは、このインタビューシリーズでもやっている「性教育」ですね。自分と他人の体を知って、お互いを大切にできるようになります。
山田「それは、中高校生には、ど真ん中の内容ですね!!」
太郎:そして、自分の気持ちとつながるための「コネクションプラクティス」
そのうえで、人の話に深く耳を傾ける「円座」
山田「コミュニケーションはバッチリですね。」
太郎:そして、新聞社とTV局におつとめの父兄にお願いして「メディアリテラシー」
山田「これは、前から小学部にもやりたいプログラムと聞いてましたが・・・。」
太郎:実際、子供たちにやろうとしたら、少し早いことがわかったんです。中高校生ならど真ん中に必要な科目です。
自分で考えて、行動できる存在、社会にとってとんがった人材を育てる夢に現実味が出てきたんですよ。
山田「確かに!でも、どうして、こんな発想ができるんですか?」
太郎:実は、僕が考えているこの教育モデルの背景を説明してくれている面白いドキュメンタリーの動画をみたんです。
Most Likely to Succeed
http://www.futureedu.tokyo/education-news-blog/2016/6/8/most-likely-to-succeed-
という動画なんですが、
「人工知能 (AI) やロボットが生活に浸透していく21世紀の子ども達にとって必要な教育とはどのようなものか?」というテーマで、
カリフォルニア州にある High Tech High というチャータースクールに通う二人の高校1年生の成長を追いかけながら、実は、今の学校が子供の創造性を奪う教育なのではないかと歴史と教育を照らし合わせて、検証しているものです。
その中で言われていたのですが
今の教育モデル、
つまり、同じ年齢を同じクラスにして、教科ごとに教えるスタイルは、
130年前の第二次産業革命で、軽工業品を作る工場で、農家からきて、マニュアルが読めて、上司の言うことを理解して指示通りに働いてもらえるようにするためのもので、ドイツからアメリカに取り入れられたモデルなんですって。
でも、1990年代ITバブルで会社が成長する中で、仕事をする上で必要な人材がいないことに気がつきます。
そこで、生まれたのがHigh Tech High
Project-based learning (課題解決型学習法)を実践する教育機関として世界中から注目を集めている小中高混合の学校施設です。
彼らはチームワークで社会に必要な何かを作り出すことをやりながら学びます。
山田「まるで、太郎さんがつくろうとしている学び舎の中高部そのものですね。」
太郎:そうなんです。もう、アメリカでは20年も前にできて、高い就職率を維持しているそうです。
それが、日本ではまだ、大学に受かるための教育をしています。
しかも、抜き打ちテストしたら、成績がガクンとさがる結果がでるような・・・忘れる勉強法で。
「大学卒業してても使えない。」
という結果に。
そもそも工場は人からロボットにかわっていくので人材はいらない時代に突入しました。
そして、大学にうかるために勉強ですけどね、例えば、正解がいくつも有る場合
「出題者の気持ちになって、何を問われているのか考える。」
のがポイントになります、
山田「それって、上司の気持ちになって考えられる、空気読める人を育てているってことですね。」
太郎:そこまで露骨ではないでしょうが、まあ、そうでしょうね。
時代の流れを見るには、エネルギー源の問題は避けられません。
もともと石炭を燃料にして蒸気が発明されました。
その次が石油でエンジン。
今の教育モデルが通用するのはせいぜいここまで、
その次は水素や太陽エネルギーが注目されています。
地球上の人が誰でも無限にうけとれる太陽エネルギーが主になったら、戦争ってなくなるんじゃないかって、勝手に楽観視していますし、生まれる産業も、求められる人材もまったく変わる気がします。
しかも、スマホが一気に普及したように、そう遠くない未来におきるかも。
そのとき、社会の役にたつ人材を育成できていればいいなと思います。
山田「それにしても、太郎さんは、どうして、そんなに楽々とビジネスを成功できるのですか?」
太郎:好きな事しかしていないからです。
山田「でも、自然系や旅や芸術、好きな事を仕事にしていて幸せだけど、お金の悩みはつきないという話はよく聞きます。
太郎:それはありますね。実は、税理士の先生に
「太郎さんは、一円でも安く売ろうとしていない、一円でも高く売ろうとしているから上手くいくんだ。」
と言われているんです。
「サービスを安くする。」
というのは、きびしい言い方をすると
「努力していないから下げられる。」
ということ。
高く売ろうとすると隣よりも高くする理由がいります。
付加価値、サービスをつけるか、
時間を短く提供するか
信頼を重ねるか、
品質をあげてブランド力をあげるか、
努力するか
他とは違う何かを生み出す、これが企業努力です。
だから、安く売ることにポリシーを持ってはダメなんです。
安く売るから、儲からない。
仕入れ先も安くなる。
なんだったら、お金ないから外注しないで全部自分でやろうとする。結果、
大きくは生み出せないし、時間もなくなる。
経済は小さくなっていきます。
僕は、できないことは
外注してお金をまわしていきます。
その方がいいものができるし。
たくさんの生徒にこのサービスをうけてもらうために
スタッフも雇います。
そのスタッフもゆとりを持てるよう、
僕は空いた時間で事務の効率化ができるよう
創意工夫をする時間も出来るんです。
結局、心地良い方へ向かおうとしたらそうなったって事なんですけどね。
旅の方もね、今は、コロナ禍で止まっていますが、解除されたらすぐにツアーを再開します。もう既に予約が10名以上もはいっていますから。
僕のツアーは決して安くはありませんが、それだけ、他では味わえない経験を用意している。
それを、みんな知ってくれているから、お友達誘って、リピートしてくれるんだと思います。
安く売ることではなくて、価値を創造して、お金をまわす。それが一番の社会貢献になるビジネスモデルだと僕はかんがえています。
このブログシリーズは「さつきやま森のようちえん」の元保護者で、太郎旅の参加者でもあるライターの山田詩乃が、読者目線で、太郎さんに今、聞きたい事をインタビューし、まとめたものです。
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