前回は、一人の親として、保護者として、森の学び舎を総括してもらいました。息子さんと同時に立ち上げ期から入った子供達も一度卒業。学び舎では親は子を任せっぱなしに出来ません。聞かないとわからないこともいっぱい出てくる。言って変わることもある。主体的に子供達の成長に関わり続けることが出来る場でした。みなさん、どんな感想をもたれたのかお聞きしました。
山田「今年は、立ち上げ期に入った子供が卒業する、ひとつの節目ですね。他の保護者の方はどうおっしゃっていましたか?」
太郎:そうですね・・・。いっぱい感想をもらいました。
「こんなに、むちゃくちゃで個性が強いのに、気にせず一緒にいてくれて、素で受け入れてくれてありがとう。」
とか
「もう、心配なく育った。こいつは、これからの人生たくましく生きていくだろう。」
とか、
でも、皆様が同様に話されたのは
「成長のスピードとか一人一人、違っていても本当に平気だった。」
ということ。
山田「どうしてだとおもいますか?」
太郎:これは、カリキュラムがなかったからですね。
子供達にしてみれば、成長しやすかった。
まわりと違って心配だった子も、その子らしく自分の感覚で成長出来たのだと思います。
人に教わることだけが成長ではありません。興味をつきつめることでの成長を実感したのではないでしょうか?
山田「本当に意味で子供を信頼し、成長を見守り続けた親御さん達の素直な感想なんでしょうね。」
太郎:ですが、実はここからが大変です。
日本の中学、高校は、小学校より、制服の着用、髪型、厳しい規則があって脱個性が色濃いです。
山田「まったくですね。どうしてなんでしょうか?」
太郎:まず、中学ですが、今は高校に進学するための予備校なんです。小学校との一番の違いは
「内申制度」。この内申で大事なのは、成績と見た目の清潔感です。これが、中学生も先生も縛ります。
山田「確かに、でも、どうしてなんでしょうか?」
太郎:高校がそういう子を求めていると中学が思っているからです。昔、高校の先は大学ではなく就職がメインだったから。高校は高校で企業が求めているのは、成績と見た目と思っていて、就職に有利な子供をたくさん育てようとします。
その頃の価値観が、この多様性の時代に、中学、高校で当たり前のように残っているんです。
校則は実は結構、違憲なものもあります。
憲法は国民が規則を守るためにあるのではなく、国民の人権をまもるためのものなんです。
権力者から弱い市民をまもるための物です。
なのに、校則は、子供にきつい規則を守らせます。生徒を縛るために。
校則をきつくすれば、するほど、就職に良い時期があったからです。
会社は校則を守れる子を欲しがるだろうと。でも、果たして本当でしょうか?
男性の髪型で2ブロックを禁止している学校があったのですが、
学校に理由を聞いたら
「就職に影響するから」
だったので、本当にそうなのか、子供達が
まわりの会社に聞いて回ったそうです。
すると、
「2ブロックの方が、爽やかだし、清潔感ある」
と好印象だったそうで
山田「だったら、なんのために禁止なのか分からないですね。」
太郎:だから、僕は、先日行った、中高部の一回目の会議で、子供達に
「ルールは君たちが決めれば良い」
と伝えました。
とりあえず、決めてある事もありますが、
スタッフや保護者と交渉次第でなんでも出来ます。
時代にあわせて、ルールをつくったり、壊したり。
一個新しいことが始まると、一個新しいルールが決まる。
校則は学校の先生がきめるものですが、
学び舎の中高部は、
僕やスタッフだけでなく、生徒も、親も、全員参加型で決められます。
特に今は、立ち上げ期なので、
「新しいコミュニティ作り」を体験できるでしょう。そして、
次世代は、その不具合を解体して作り直す。
スクラップ アンド ビルド。
会社が、社会でやっていることです。
何も練習させないで、いきなりこの社会に放り込む方が可愛そうだとおもいませんか?
山田「本当の意味での職業教育、キャリア教育そのものですね。どうして、みんなそちらに舵をきれないんでしょうか?」
太郎:そもそも、勉強さえできれば幸せになるという妄想があるんです。
山田「良い学校でて、良い会社につとめたら、幸せになるというやつですね。」
太郎:人を一番コントロールしやすいのは、学力とお金です。
国としては国家を安定して運営するにあたって
100%税金を納める人が8割ぐらい必要なのです。
昔は農民、今はサラリーマン。商人はうまく、ごまかしますし、
自由に働く人も困る。日本にいなくなるかも知れないし。
だから、国は、学校はサラリーマン養成したいんです。
お金儲けをして管理する人を増やすより、お金に行動が管理される人を多く生み出したい。
マイホームの税金を安くして、35年間ローンで縛って、起業するのを阻止しています。
でも、今、オルタナティブのようちえんや小学校が増えてきたので、中学校も、高校も同じ流れがくると思います。
たぶん、7,8年先ぐらい。今、全国に出来てきたオルタナティブスクールの子が中学生になる頃に
受け皿になる中学、高校がもっとできてくるでしょう。
山田「その時、学び舎は、高校を卒業する子がいて、今の小学部のように、経験を重ねたモデル校になっていそうですね。」
太郎:ようちえんや小学部は、子供のためにつくったんですが、今回は、ある意味、自分のためにつくりました。
将来、同じ土俵で遊べる(ビジネスとかもふくめて)一緒に楽しく生きていける仲間づくりのためです。
同じ価値観をもった大人が増えると僕自信も豊かになるから。
山田「インターンみたいな感じですか?」
太郎:僕の会社で働きたい子もいるかもしれないけど、僕としては自分で仕事を生み出してお金を管理する人を増やしたい。僕は旅行にいきたいから、ツアーをつくる
そんな感覚でやりたいことをするために仕事をうみだし、世界にも貢献出来る仲間を持ちたいんです。
人数は5人が確実に、1人はイベント的に地域の中学校にいきながら面白そうなら来ますって子もいます。
そうは言っても中高部は1年目なので、まだまだ、みなさん様子見。
一学期のレポートを見て、夏休みごろからばたばた、入学希望者が増えるかも知れません。
このブログシリーズは「さつきやま森のようちえん」の元保護者で、太郎旅の参加者でもあるライターの山田詩乃が、読者目線で太郎さんに今、聞きたい事をインタビューし、まとめたものです。
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