太郎さんと助産師の辻本有美さんによる「性と生のお話」。今回は「妊娠と出産」の後編。
妊娠後期、8ヶ月目からです。
トピック1【妊娠後期】
有美:子宮って最初は鶏の卵ぐらいの大きさが、生まれる頃には33cmぐらいになります。
胃を圧迫して、たくさん食べられないし、胎動もすごいし。
赤ちゃんも1500gから3000gぐらいに、急成長するんですよ。
人間は一番最後にできあがるのが肺なんですが、それができあがってから生めると安心ですね。
やっぱり正規産の37週って意味があるんですよ。
トピック2【妊娠中のオススメ】
有美:無理のない運動、家事をおすすめしています。
特に四つん這いになった床ふきとか。
四つん這いになったら、お腹が下に垂れるので、子宮にゆとりが出来るんですよ。
お産の準備になったら、赤ちゃん、頭を下にするんですが、おかあさんが、ずっと立っていると、子宮の空間が狭くて移動しにくいんです。
だから、四つん這いになって作業することで、赤ちゃんから自ら移動できるし、陣痛がなかなか来ないときも四つん這いになることオススメしています。
あと、スクワットがいいんですが、昔は、和式トイレがあったから、あの姿勢はみんなできたんですよ。
でも、今は洋式トイレで育っているから、急に妊娠して、お腹も重くなって出産となっても、股関節が開かない。
だから、日頃、ソファとかにすわらず、雑誌つみかさねたりとか、お風呂の椅子にこしかけて、スクワットの姿勢をすることからオススメしています。そうすると、股関節がちゃんと開くんです。
食生活は、体をあたためて血流がよくなるようなものがいいです。
感覚が繊細になるから、食べたいものってわかるようになります。私はゴボウばっかりたべたくなりました。
山田:ですけど、時々、すごくジャンキーなものを食べたくなりますよね?あれってどうなんですか?
有美:あれは、塩分が欲しいんですよ。だから、ポテトチップスとか欲しくなるんですが、満たされないんです。そういうときは、良いお塩でつくった梅干しが最高!一日一個とると落ち着きます。
妊婦さんは、良い塩が大事なんですが、ポテトチップスとかで塩分をとりすぎると、妊娠中毒症とか高血圧とか悪い方に傾くんです。
山田:ミネラルってことですよね?だから、ミネラルのはいっていない、スカスカの塩だったら、逆に体に悪いってことですか?
有美:そうそう、本当にそうなんです。精白されているものって、塩も砂糖もミネラル全然なくなっているし、お塩もちゃんとした塩が大事。
食事いろいろありますが、調味料を良いものを選ぶだけで違います。
あと、逆子のときですが、あかちゃんは、メッセージを発しているんです。
だから、赤ちゃんが何を言いたいのかお母さんが耳を傾け、
「このことか!」
ってわかると、逆子ってなおるんですよ。
兵庫県の西の方に、逆子直すのが上手い先生がいるんですが、
聴診器で赤ちゃんにずっと話しかけて、どうしたのってきくんです。
そのうち、どれかの言葉がおかあさんにヒットして、お母さんが泣き出して、気付いたら、赤ちゃんが、その場でぐぐぐって動いて、逆子が治ったりするんです。
太郎:ええ!
有美:不思議ですよね。私の場合はお墓参りするってメッセージもらって、行ったら、逆子治りました。
そういう話とか、以外と助産師外来とかいくと出来るんで、話にいくだけでもいいですよ。
あまり、話してよくないのが先に産んだ先輩ママ。みんな、幸せなことより大変だった話をしたがるんです。
そのせいで、妊婦さんが不安になって、外来に相談に来る人がいました。
お産はイメージが大事なんで、
「陣痛こなくて、促進剤打って、泣き叫ぶほど痛くなったらどうしよう。」
とか思ったら本当にそうなるんで、幸せなお産を想像するように促しています。
山田:やっぱり、だから、バースプランってとても大事なんですね?
有美:そう、良いイメージのバースプランは大事です。
山田:ということは、辛い思いして生んだお母さんのケアが必要ですね。
きっとみんな言いたいだろうから、後輩の妊婦さんではなく、その思いを受け止める人がいりますね。
有美:そう、だから、お産の振り返りが大事なんです。苦しい思いも、意味があるって分かればほっとするのに、みんな、放っておかれているのかもしれない。
あと、妊娠中の不調で、糖が降りたりとかあるんですが、それって、もともと弱いところに出ているので、自分の体に気が付くタイミングになったらいいなって思います。
トピック3【出産】
出産は、赤ちゃんが頭を下にしてスタンバイします。一人目は12時間。二人目はそれの半分。まあ、でも長い人では3日、短い人は1時間。子宮口がひらくには時間がそれなりにかかるんです。
逆子だから悪いとか、帝王切開が悪いとか、自然分娩がいいとか思いがちですが、
逆子には逆子の意味があって、へその緒がぐるぐる巻きになっていたとか、短くて、普通に生んでたら大難産になっていたとかあるので、
今のおかあさんと赤ちゃんにとってベストな選択が起きます。
このあたりは、子供たちにも伝えています。みんな、ベストをつくして生まれてきてるんだよって。
トピック4【出産スタイルのあれこれ】
有美:私は、分娩台は大変そうだと思いました。力が上手く入れにくそうで。やっぱり、自分の本能のままに生むのは、気持ちよくて幸せだなっておもいましたね。
お湯につかっていると陣痛は逃がしやすくて、リラックス出来ますよ。
だから、バリバリのアスリートとかダンサーはかえって難産だったりします。
筋肉鍛えて、頑張るの得意な人は、ゆるむのが難しいので、もっとホワッとして欲しいんですよね。
気合いで頑張ろうとすると大変なので。
車の揺れや階段の上り下りで、重力をつかうのも大事です。
あと、お産の合間の差し入れは、バナナよりイチゴの方が人気です。口に残らないし、さっぱりするんで。
山田:私が生んだ助産院では、普段は甘いもの極力たべないように言われるのに、お産のときだけ質の良いチョコレートを持ち込んでOKでした。お産がすすむんですよね?
有美:そうなんです。甘いものってすぐにエネルギーに変わるし。普段は節制されていても、お産の時はなんでもありっていうか。
山田:あと、私、陣痛が始まって、助産院で、お産まで時間があるからって、頭蓋骨の整体をうけて調整したら、急に子宮口が開いたんですよ。そういうの関連あるんですね?
有美:めちゃくちゃあると思う。鍼灸、アロマ、経絡とかチャクラとか、そういうものをととのえたり、エネルギーをどう循環させるとかお産では大事です。
山田:病院で産んだら安心な面は多いんでしょうが、昔からのお産の情報があつまっている助産院で、いろんなものがあるんだと情報として知れたのはよかったですし、嬉しかったです。
有美:助産院では医療行為ができないから、こそ、それ以外の自然療法を使うので、その体験をされていると、子育ての時も、病院行って、薬というのではなくて、選択肢が広がりますよね。
食事変えてみようとか、あたためてみようとか。
太郎:なるほどね。
有美:太郎さんだってそうですよね。自然の中でなんとか出来るって体験がありますよね。
太郎:そうですね。自然の中にはないものはないですね。インディアンの知り合いが
「自分の子供には山で生活して欲しい。街にはなにもない。すべて、揃っているのはここだから。」
と言ったのが印象に残っています。
有美:街にそだった私たちが、そのことに気付くきっかけが、妊娠、出産かなって思います。
山田:動物であることを思い出させてくれるって事ですよね。(山田の出産体験について語りました。詳しくは動画でどうぞ)
トピック4【印象にのこっている妊娠・出産】
(ヨガインストラクターさんのお話や、3.11のニュースをみて逆子になった妊婦さんの話もあったのですが)
有美:3日間かかったお産があって、小さなクリニックだったので、
そこに勤めている助産師、みんな、交代で関わるのですが、
みんな、ヘトヘトになりながら生ませてあげようって思っていろいろやるんですね。
でも、生ませてあげようって時は、生まれない。みんな、疲れて、あきらめて、
「どうぞ、あかちゃん、自分の力で生まれてください。」
ってなると、きゅって生まれる。そういうのって、子育てでもありますよね。
人をこう育てたい、
分からせたいというのは上から目線で、
本当に、人の力を信じて、絶対大丈夫って
委ねた時にものごとは進むなって感じたことがあって、
このために助産師になったって思ったんです。
妊娠・出産は、その数だけドラマがあるので、
その体験、素晴らしさを語ってあげることが一番の性教育かなって思います。
太郎:自分の子が生まれたときを久しぶりに思い出しました。我が子も助産院で生まれたので、
僕は退院まで子育ての基礎を学べたのはよかったなと思います。
このブログシリーズは「さつきやま森のようちえん」の元保護者で、太郎旅の参加者でもあるライターの山田詩乃が、読者目線で、太郎さんに今、聞きたい事をインタビューし、まとめたものです。
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